
中国市場の縮小を背景に、アジア各国で新たな成長機会を求める日本の化粧品企業が増加している。中でも東南アジア市場に進出する企業が拡大戦略を展開し、それぞれの市場特性に応じた製品開発や販売チャネルの構築が進んでいる。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月27日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋です)
VIETNAM
ベトナム
平均年齢が30歳前後で人口増加が2040年まで続くと予測され、中級階級の人口も26年には26%に達するといわれている。化粧品はスキンケアの使用率が高いものの、製品カテゴリーと価格帯の多角化が進み、今後の市場拡大が確実と見ている。
2024年化粧品市場規模:
約3750億円(前年比4.1%増)
マークンテル調べ
人口:
1億98万7686人
(2024年)

Background:
日本製品質で切り開き、地位を確立
ロート製薬は、ベトナムがASEAN加盟直後の1996年に現地法人を設立し、参入条件だった工場設立も実施。「海外企業の進出がまれな中で、最初の市場開拓者として確固たる地位を確立してきた」(白松浩文ロート・メンソレータム・ベトナム社長)と語るように、目薬やリップバーム、「肌ラボ(HADALABO)」「スキンアクア(SKIN AQUA)」を軸に日常ケア文化を根付かせてきた。日本品質への信頼を背景に、都市部の中間層を中心としたヘアケアを含めたブランド認知拡大を進める。DHCは2018年に設置した現地代理店がブランドを積極的に推進し、現地主導のマーケティングで着実に拡大。「当初直営店による展開を試みたが効率面で課題があり、オンライン販売にシフトした」(藤井保典ディーエイチシー 国際市場開発ユニット グループリーダー 次長)。現在は、ティックトック(TikTok)やショッピー(SHOPEE)などのECが売り上げの7〜8割を占める。全製品が日本製で、特にサプリメントの需要が高い。01年進出のコーセーは、「1億人を超える人口と若年層の構成比に可能性を感じている」(大石大コーセー アジア事業部 事業推進課 課長)と語り、「雪肌精」などを展開。今年から代理店の切り替えを行い、下期に本格的な事業がスタートした。
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