アディダス(ADIDAS)の2024年12月期決算は、売上高が前期比4.8%増の248億1100万ユーロ(約4兆5652億円)、営業利益は同53.8%増の20億5600万ユーロ(約3783億円)、純利益は同66.5%増の13億8500万ユーロ(約2548億円)の増収増益だった。
カテゴリー別での売上高は、売り上げ全体のおよそ57%を占めるフットウエアが同1.8%増の142億3200万ユーロ(約2兆6186億円)、35%を占めるアパレルは同10.4%増の87億6400万ユーロ(約1兆6125億円)、7%のアクセサリーは同2.0%増の18億1500万ユーロ(約3339億円)だった。
地域別の売上高は、同社の本拠地である欧州が同7.7%増の81億3600万ユーロ(約1兆4970億円)、中国(大中華圏)は同4.7%増の36億2300万ユーロ(約6666億円)、新興市場は同6.0%増の35億1000万ユーロ(約6458億円)、南米は同5.6%増の29億2600万ユーロ(約5383億円)、日本と韓国は同5.0%増の14億600万ユーロ(約2587億円)といずれも増収。同社にとって欧州に次ぐ市場である北米は同0.8%減の50億8700万ユーロ(約9360億円)と微減だったが、現地通貨ベースでは同4%増となっている。
グルデンCEOの任期を30年12月末まで延長
ビョルン・グルデン(Bjorn Gulden)最高経営責任者(CEO)は、「25年の業績は予想をはるかに上回る結果となり、チームをとても誇らしく思う。売り上げはもちろんのこと、品質面でも成長することができた。当社のミッションは、消費者、アスリート、小売りパートナーに仕え、彼らを満足させるために尽力することだ。そのためにもできる限り各市場の近くに在り、ローカルなマインドのグローバルブランドでありたいと考えている」と語った。
同氏は23年1月に就任し、事業再建に着手。26年末までに“健全な財務および経営状態の会社”とするべく、アディダスがカニエ・ウェスト(Kanye West)ことイェ(Ye)と共に手掛けていた「イージー(YEEZY)」事業の終了に関連した在庫処理、人員整理を伴う組織の合理化、主要市場におけるローカライズ戦略などを推進した。同氏はアナリスト向けの決算説明会で、「健全な状態の会社にすることを掲げていたが、それは前倒しで達成し、今や長期的に成功する会社になったと自負している」と述べた。なお、アディダスの監査委員会は3月4日、同氏の任期を30年12月末まで延長することを発表している。
好業績なのに株価が下落した理由
決算内容が良かったにもかかわらず、同社は26年の成長率をアナリスト予想を下回る7~9%と見込んでいることを明らかに。27~28年も同程度と慎重な見通しだったことを市場が嫌気し、同社の株価は一時、前日比8.3%安の134.85ユーロ(約2万4812円)と3年ぶりの安値をつけた。その後やや持ち直し、3月4日の終値は同3.6%安の141.80ユーロ(約2万6091円)となっている。
中東情勢の影響は「誰にも分からない」とCEO
米国とイスラエルによるイランへの攻撃やそれに伴う中東での混乱の影響について、同社は「イスラエルにあるフランチャイズ店が1店、攻撃により倒壊したが、休業していたため死傷者や負傷者はいなかった」と発表。なお、中東各国にある店舗の多くは一時休業しているが、政府の要望によって営業を続けている店舗もあるという。また、ホルムズ海峡の閉鎖によってサウジアラビアおよびアラブ首長国連邦への輸出に支障が出ているが、ほかの世界各国への物流に影響はないとしている。
グルデンCEOは、「中東上空を通過する航空便に影響があるかもしれないため、サンプルや商品の到着が遅れる可能性もあるが、現時点では何とも言えない。今後の影響については、世界の誰にも分からないのではないか」とコメントした。
米国での成長率が低いのは「もう一方のブランド」のせい!?
ほかの市場と比べて北米の成長率が低いことについて、グルデンCEOは「もっと早い段階から、よりアメリカンなスポーツにも注力すべきだった」と指摘。近年、バスケットボールやアメリカンフットボール市場での存在感を高めるべく努力しているものの、「もう一方のブランド」、すなわち「ナイキ(NIKE)」がすでにシェアを支配しているため難しいと説明した。「当社が米国市場で首位となるのは現実的ではないが、業績を倍にすることはできるはずだ」と話した。
また、中国のスポーツ用品大手アンタ・スポーツ(ANTA SPORTS以下、アンタ)が1月、プーマ(PUMA)の普通株式約4300万株を15億550万ユーロ(約2755億円)で取得し筆頭株主となったことについて懸念はあるかという質問については、「特に心配はしていない。アンタは優れた企業だが、当社の中国事業を担っているチームも非常に優秀であり、現地市場やアンタをはじめとする地元企業についても造詣が深い。また、中国は巨大な市場であり、最近はスポーツブームに沸いているので、多くの企業が活躍する余地がある」と回答した。