DHCの2025年の業績は、2月初旬時点の速報値で売上高が996億円で、前年に比べ増収増益となる見通しだ。26年は前年比10%増の売り上げを目指し、1000億円の大台が視野に入る。同社が第二創業を掲げ、23年4月に新経営体制を発足してからすでに約3年が経過したが、改革の成果は足元の業績として着実に表れつつある。
第二創業以降の改革
第二創業で掲げた経営方針は「自主自立」「事業間連携の強化」「お客視点」の3つ。ガバナンス強化や働き方改革など社内体制の整備を進めるとともに、製品力・研究開発力の強化、顧客体験価値の向上に取り組んできた。
製品力の強化では、化粧品と健康食品カテゴリーのポートフォリオを見直し、SKUの最適化に着手。リニューアルを含む新製品数は、24年が化粧品5品、健康食品4品、25年はそれぞれ25品、17品へと段階的に拡充してきた。26年はこれをさらに強化し、前年の約2倍規模で新製品を投入する計画だ。
研究開発体制の再編にも取り組んでおり、第二創業前と比較して現在の研究員数は約2倍に及ぶ。25年には化粧品、サプリメント、基礎研究の3ユニットを統合し、開発機能を再構築した。これにより、化粧品と健康食品の両方の研究組織を持つ強みを生かした開発や外部研究機関との連携を強化する。
また、ブランド価値の浸透に一定の課題があったとの反省から、ブランドイメージを再定義し、新たにブランドアンバサダーやイメージタレントを起用。25年にはブランドアンバサダーとしてタレントの二宮和也、化粧品のイメージタレントとして女優の白本彩菜を起用した。近日もサプリメントの新イメージキャラクターを発表予定で、ブランド発信力の強化を図る。宮﨑緑社長は「製品力とブランド力の両輪でDHCの新たなステージを切り開く」と力を込める。
さらに、顧客接点の強化を図り、直営店、ECサイト、アプリのリニューアルを進める。チャネル軸から顧客軸への転換を図り、どの接点からでも自然にブランドと接点を持つ環境の構築を目指す。
海外比率30%へ
東南アジアを重点攻略
同社の主要事業は通販事業、直営店事業、流通営業事業、海外事業の4つ。通販の会員数は25年1月時点で1623万人を保有し、直営店は94店を運営する。取り扱い店舗数は約3万店を超える。海外は、上海、台湾、アメリカに現地法人を持ち、他の地域は現地の販売代理店を通じて計17カ国に展開する。
第二創業以降固めてきた国内基盤の成果をもとに、今後重点を置くのは海外事業だ。25年の海外売り上げは前年比約12%増で着地予定。現在の海外売り上げ構成比率は約20%を占めるが、30年にはこれを30%まで押し上げる目標だ。
中国や台湾といった東アジアは変わらず基盤としつつも、今後は東南アジアへの展開を加速。すでにベトナムではライブコマースを活用した販売が奏功し、ビタミンCや亜鉛などのサプリメント製品が好調に推移しているという。今後はタイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールなど、より市場規模の大きい国に注力する。
具体的な数値は明かしていないが、カテゴリー別の売り上げでは健康食品が化粧品を上回る構成となっている。高谷成夫会長は海外売り上げ比率の引き上げを含めた今後の同社の成長について「化粧品カテゴリーの復調が大きな鍵を握る」と語る。なお、機能性表示食品を取り巻く環境変化や紅麹問題の影響を踏まえ、化粧品と健康食品ともにエビデンスを軸とした製品開発を重視しており、この路線での成長を目指す。
組織風土も整備
1000億円の大台へ
2月17日にはオフィスを東京・三田のミタマチテラスに移転統合し、新オフィスでの勤務を開始した。フリーアドレス制を基本としたオフィス環境で、円滑なコミュニケーションの促進を図る。また、第二創業以降始動した社員総会「ワンドロップサミット」は今年で3回目を迎え、社員投票による社内表彰制度も導入。これらの取り組みで「自主自立」の組織風土を醸成する。
宮﨑社長はこれまでの3年を振り返り、「変えるべきところは思い切って変える。変えてはならないDHCらしさは守るという姿勢を大事にしてきた」と語る。この両方の積み重ねで顧客との信頼関係を構築し、同社は1000億円の大台に向けて再成長のフェーズに入る。