ファッション

業界人図鑑 vol.3 技術の先にある「一生続けられる仕事と創造性」 美容師 柳亜矢子

写真:小野啓

ファッション&ビューティ業界には、どのような仕事があり、どのような人たちが働いているのか。「業界人図鑑」ではどのような仕事であっても誇りを持ち、その道にまい進してきたプロフェッショナルを取り上げる。3人目となる今回は、代官山「スロウ」の柳亜矢子ディレクターが登場する。美容専門学校を卒業後、複数の人気サロンを経て今に至る柳さんの仕事観と美容師の魅力に迫る。

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柳亜矢子

美容師
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「スロウ(Sraw)」ディレクター
PROFILE:(やなぎ・あやこ)1979年2月7日生まれ、神奈川県出身。美容専門学校を卒業後、池部隆司氏の率いるサロン「エイト&ハーフ」に入社。6年勤めた後にニューヨークに3カ月ほど遊学。帰国後に「broocH(ブローチ)」(神宮前)の立ち上げに参画。2021年、代官山に「スロウ」を立ち上げてディレクターに。今年6月に鎌倉に自らがオーナーとなる「トゥー(TWO)」をオープン予定 インスタグラムアカウント:@ayakoyanagi 

Q 当時1年制だった美容学校を卒業後、憧れの代官山のサロン「エイト&ハーフ」に入った。

柳亜矢子(以下、柳):代官山の少し奥まった路地にあった隠れ家的サロンの「エイト&ハーフ」は内装や実際に作り出すスタイルも、何もかもがとにかくかっこよかった。実際に働いてみると先輩がめちゃくちゃ厳しくて怖い。当時は緊張感が半端なくて、先輩の前ではご飯を食べることもできない雰囲気でした。ただ、技術やスタイルだけでなく、どんなときでもお客さまに真摯に真剣に向き合うことを学びました。

Q 転機は?

柳:いろいろありますが、一つはファッション誌や、「Ocappa」「新美容」といった業界誌でのヘアメイクアップアーティストとしての仕事です。特に業界誌は、ファッション誌と違ってヘアが中心なので、仕事を一緒にしたいスタイリストやフォトグラファーにこちら側からお声がけができた。この時の経験とつながりはとても大きな財産です。一方で業界誌の撮影でも、美容師的なテクニックを見せるのではなく、ファッション的な世界観を常に意識していました。

Q 6月に自らがオーナーとなって鎌倉にサロン「トゥー(TWO)」をオープンする。なぜこのタイミングで独立を?

柳:美容師のキャリアからすると、40代で独立はむしろ遅い方です。今、美容業界は大きな変革期です。従来の「新卒をゼロから育ててデビューさせる」というやり方は、時間も労力も膨大で、教える側・教わる側の双方に負担が大きい。一方で、戦力となる20代後半から30代の優秀な層は、どんどんフリーランスに流れています。この流れはもう止められない。ならば、それを受け入れた新しい雇用形態を作ればいい。フリーランスの方や、育児でフルタイムは難しいママさん美容師を「スポット」のアシスタントとして活用する仕組みを考えています。彼女たちの高い技術に正当な対価を支払い、私のお客さまも守る。そんな柔軟な関係性が、これからの時代には合っているんじゃないかな、と。

Q 最後に、これから美容師を目指す若者たちへメッセージをお願いします。

柳:この仕事は、お客さまの年齢やその時々の嗜好で正解は変わるし、トレンドにも影響される。30年近くこの仕事をしていますが、いまでも新しい出会いや発見があります。技術職なので、自分のものになるのは時間がかかるし、正直ハードな仕事です。でもその先には、技術という一生の武器が身につき、長く続けられる未来がある。特に伝えたいのは、お客さまにむしろ救われるということ。お客さまの前に立ち、向き合うと、すっとフラットになれる。その上、自分が作ったデザインで喜んでいただけたときは本当にうれしい。短いスパンで結果を求めがちな時代ですが、その時間を乗り越えた先には、飽きることのない、尽きない魅力が待っています。

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