アメリカ・カリフォルニア州で現地時間の2026年4月10〜12日(日本時間4月11〜13日)、4月17〜19日(日本時間4月18〜20日)の2週に渡り、世界最大級の音楽フェス「コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル 2026(Coachella Valley Music and Arts Festival 2026)」(以下、「コーチェラ)が開催される。
今年のヘッドライナーは、4月10&17日(日本時間4月11&18日)はサブリナ・カーペンター(Sabrina Carpenter)、11&18日(日本時間12&19日)はジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)、12&19日(日本時間13&19日)はカロルG(KAROL G)が務めるほか、ザ・エックス・エックス(The xx)、ザ・ストロークス(The Strokes)、リトル・シムズ(Little Simz)、アニマ(Anyma)など多くのアーティストが出演。日本からはCreepy Nuts、藤井風、¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uが出演する。
本記事では、膨大な出演者の中からおすすめアーティスト23組をピックアップし、その見どころを紹介。今年もYouTubeでのライブ配信が決定しているので(全2週、7ステージを同時配信)、音楽好きにとって至福の週末を楽しむ際の参考にしてもらいたい。、※日本時間は現地時間プラス16時間。
1日目/4月10&17日(日本時間11&18日)
Sabrina Carpenter
抗いがたい魅力をまとった王道のポップサウンド、セクシャルで機知に富んだ歌詞、そしてスター性抜群のキャラクター。そのすべてを兼ね備えたサブリナ・カーペンターが瞬く間にポップスターダムの頂点へと駆け上ったことに、何の疑問を差し挟む余地もない。事実、彼女はここ数年でもっとも勢いを感じさせるポップスターの一人だ。2年前の「コーチェラ」初出演時はメインステージのヘッドライナーから4番目というスロット。だがそれから2作連続で大ヒットを飛ばし、一気にヘッドライナーの座を射止めてみせた。前回のステージで「次はヘッドライナーとして戻ってくる」と宣言していたが、この短期間で彼女は有言実行してしまったのである。今回のステージは、その意味ではブレイク後の一つの到達点。「コーチェラ」仕様の豪華な演出で行われるであろう、その祝福の瞬間を存分に楽しみたい。
Anyma
ポスター上で各日のヘッドライナーと並ぶ大きさで名前が記されていることからも、アニマが今年の目玉の一つであることは明らかだ。メロディックテクノを基盤にした高揚感のあるサウンドと、ドラマティックな映像演出――それらを緻密に同期させることで、このイタリア出身のDJ/プロデューサーは聴覚と視覚を同時に刺激する没入型のステージを構築してきた。人間とテクノロジー、意識と人工知能といったテーマもその中で提示される。ラスベガスのスフィアでレジデンシー公演を成功させたことからも、その人気のほどが窺えるだろう。コーチェラで初披露となる最新ライブショー「ÆDEN」では、新曲と映像が一体となった新たな体験の幕が上がる。その後、世界12カ国を周って披露されるステージを、いち早く目撃できるプレミアムな時間だ。
The xx
英国クラブカルチャーとインディーロックの交錯点であり、2010年代のオルタナティヴR&Bの潮流とも共振していたザ・エックスエックスは、イギリスを代表するインディーバンドの一組だ。17年リリースのアルバム「I See You」以降は各メンバーのソロ活動が活発だったが、今年は「コーチェラ」や「フジロック」をはじめ、多数のフェス出演が決まっている。そのパフォーマンスは会場をダンスフロアへと転換する瞬間と、オーディエンス一人ひとりにそっと語り掛けているような親密さを行き来する。その振れ幅こそが彼らの魅力だ。昨年から新作を制作中と報じられていたので、今回は新曲がいち早く披露されるかも注目のポイントである。
Turnstile
ハードコアを現代的に再定義し続けているターンスタイル。強靭なバンドサウンドを土台に、ニューウェイヴやラテン、アンビエントなどを貪欲に取り込みながら、唯一無二の歩みで音楽性を拡張してきた。2024年の「フジロック」出演時には、そのライブパフォーマンスがSNS上で大きな反響を呼び、日本のオーディエンスにも強烈な印象を残している。今回はメンバーチェンジを経て、さらにオリジナルな音楽性へと突き進んだ最新作「Never Enough」を引っ提げての出演。今年も「フジロック」出演が決まっているが、それに先立ち、新生ターンスタイルの姿を目の当たりにできる貴重な機会となる。
Dijon
ジャスティン・ビーバー「Swag」「Swag II」の主要コラボレーターとして注目を集めたディジョンは、その直後に発表したアルバム「Baby」で一気に評価を決定づけた。プリンスを想起させる密室的なファンクを現代的に再編したような同作は、ローファイな音響と緻密なプロダクション、眩暈がするほど奇妙に捻じれた音像、そして官能的なファンクネスが混然一体となって耳に迫る。構築性が高い同作はスタジオ芸術の色合いが濃かったが、ライブではギター、ベース、ドラムに加え、複数のシンセサイザーやサウンドボード、さらにはバッキングボーカルやストリングスも導入される。その複雑な音像がステージ上でどのように身体性を獲得するのかが見どころになる。
Creepy Nuts
日本語ラップを現行のポップ文脈に接続しながら、グローバルなフィールドへと踏み出したCreepy Nuts(クリーピーナッツ)が今年の「コーチェラ」に登場する。「Bling-Bang-Bang-Born」のバイラルヒットをきっかけに海外でのリスナーを急速に拡大し、「オトノケ – Otonoke」も国境を越えて広く再生されるなど、その勢いは国内にとどまらない。4月には初の北米ツアーがスタートし、「コーチェラ」はその皮切りとなる重要なステージ。R-指定とDJ松永の高いスキルに裏打ちされたパフォーマンスと、ヒップホップとJ-POPを横断するサウンド。その独自性が、世界最高峰のフェスの場でどのように受け入れられるのか。試金石としての意味合いも含め、見逃せないステージとなる。
CMAT
「私の周りで父親たちが自殺し始めたのは12歳の頃だった」「亡くなったあなたのフラットの外にテスラが停まっている、それが腹が立って仕方がない」――大不況を経験した母国アイルランドの社会問題を積極的に取り上げた最新作「Euro Country」によって、CMAT(シーマット)はグローバルな評価をさらに高めた。今や彼女は、未曽有の活況を呈するアイルランドの音楽シーンを象徴するポップスターの一人だ。カントリーやインディーを取り込んだオルタナティブなポップサウンドに乗せ、ヘヴィでシリアスな題材を軽やかなタッチで伝える手腕の鮮やかさは、アルバム全体を貫いている。パワフルな歌唱とステージ上での存在感に定評があるパフォーマンスは、その稀有な個性をいっそう輝かせるだろう。
Ethel Cain
デビュー初期にはポップのきらめきを強く感じさせたエセル・ケインだが、近作ではアンビエントやドローン、スロウコアに接近した音像へと大きく舵を切っている。愛と死と宗教といった主題はニック・ケイヴさえも想起させる一方で、理想化されたフィクショナルなアメリカではなく、崩壊したアメリカの現実をサザンゴシックの視点から描き出すそのアプローチは、彼女の特異性を強く印象付ける。言わば彼女はポップとアンチポップの狭間を縫う存在。サザンゴシック的な記号を散りばめているというステージ演出を含め、その唯一無二の世界観に迷い込むようなライブ体験が期待される。
2日目/4月11&18日(日本時間12&19日)
Justin Bieber
ある意味、ジャスティン・ビーバーは「コーチェラ」の常連で、これまでに4回も出演している。ただし、そのすべてが他のアーティストの客演という形だった。意外にも、自身がメインとしてステージに立つのは今回が初めてだ。ディジョンやMk.geeなど先鋭的なコラボレーターを迎えた最新作「Swag」「Swag II」を引っ提げての、初の本格的なライブでもある。今年のグラミー賞授賞式では、たった一人でギターとループペダルのみを用いながら音を重ねて歌う姿を見せ、彼の内にある脆さと強さを同時に浮かび上がらせていた。そして先日LAで行われた招待制のシークレットライブでは最新2作の楽曲のみを披露し、ヒット曲を排した大胆なセットでも話題を呼んだ。「コーチェラ」にはどのようなセットリストやステージングで臨むのか。前日に出演するディジョンとの共演など、サプライズにも期待したい。
The Strokes
極限まで無駄をそぎ落としたミニマルかつスタイリッシュなサウンドでゼロ年代インディーロックを定義したストロークスは、いまもなお第一線を走り続けている。充実したソングライティングと先鋭的な音響が結合した2020年の「The New Abnormal」は、彼らが再び黄金期に突入したことを証明した会心作。Z世代のスター、ビリー・アイリッシュが同作を支持したことも象徴的だった。今年は「コーチェラ」を皮切りに「ボナルー」や「サマーソニック」など主要フェスへの出演が続き、今夏にはニューアルバム「Reality Awaits」をリリースすることも発表したばかり。直近のライブでは早速新曲が披露されているので、このステージは彼らの最新モードとオールタイムベスト的な選曲が同時に体験できるものとなるはずだ。
Addison Rae
欧米メディアの年間ベストを見渡せば、アディソン・レイが2025年の顔の一人であることはすぐに分かる。ラナ・デル・レイやブリトニー・スピアーズとも比較されるオルタナティブなシンセポップが詰まったデビュー作「Addison」は、商業的にも批評的にも成功を収めた。TikTokで世界有数のフォロワー数を誇るインフルエンサーという出自に向けられていた偏見も、いまや完全に払拭されている。競技ダンスの経験を持つ彼女は、ライブにおいてはシンガーというよりパフォーマーとしての資質が光るとの評価が多い。卓越したセルフプロデュース能力によってキャリアを築いてきた彼女は、ステージ上でいかに自分を魅せるのか。その手腕に注目したい。
David Byrne
元トーキング・ヘッズのデヴィッド・バーンは、デビューから50年近く経った現在もなお、今の時代にアクチュアルな表現を模索し続けている。ライブと演劇/パフォーマンスアートの境界を解体し、分断の時代におけるコミュニティーと連帯のあり方を問い直した「American Utopia」は、彼の発想と実践が今もなお有効であることを示した。最新作「Who Is the Sky?」を経た現在のライブは、その方法論を引き継ぎながら発展させたものだ。大所帯のバンドが統一された衣装をまとい、演奏者は楽器を抱えたままステージを自在に動き回る。セットは最新作を軸に、トーキング・ヘッズの楽曲を織り交ぜた構成となるはずだ。緻密な構成と絶え間ない運動によって構築されるそのパフォーマンスは、ライブという形式そのものを再定義しようとする試みでもある。
Nine Inch Noize
インダストリアルの象徴であり、現在は映画音楽家としても評価を確立したナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)と、エレクトロ/テクノのベテランであるボーイズ・ノイズ(Boys Noize)。この両者が「コーチェラ」で初披露するスペシャルユニットがナイン・インチ・ノイズだ。実は近年、2組は急速に関係を深めている。NINのトレント・レズナーとアティカス・ロスによる映画「チャレンジャー」のスコアをボーイズ・ノイズがリミックスし、「トロン:アレス」の音楽制作にも参加。2025年以降はNINのツアーにボーイズ・ノイズが帯同し、ステージ上での共演も幾つかの曲で実現してきた。「コーチェラ」では、そのコラボレーションがフルセットで披露されるはずだ。現在のツアーでは「Closer」などNINの代表曲も2組の共演で再構築されているが、「コーチェラ」ではどのようなパフォーマンスが観られるのか。謎のベールが剝がされる瞬間を目に焼き付けたい。
PinkPantheress
英国クラブミュージック、K-POP、エモ、ベッドルームポップが高濃度圧縮されたようなサウンドと世界観で、新世代ポップの旗手となったのがピンクパンサレスである。2026年冬季オリンピックのフィギュアスケートで金メダルを獲得したアリサ・リウがエキシビションで「Stateside + Zara Larsson」を使用したことを契機にその楽曲は広く拡散し、SpotifyやBillboardのグローバルチャートで1位を獲得。いまやイギリスが誇る世界的なポップスターの一人へと押し上げられた。ライブではダンサーを従えたポップアクトとしての演出に重きを置きつつ、生ドラムを導入することでサウンドの肉体性も同時に担保している。日に日に増していく人気の勢いからしても、今観ておきたい旬な存在だ。
藤井風
2022年に「死ぬのがいいわ」がTikTok発のグローバルヒットとなり、アメリカでゴールドディスクを獲得。藤井風はその時点で、国境を越えて活躍できるポテンシャルを有していることを証明していた。その後も海外プロデューサーとのコラボレーションを重ね、アジアにとどまらずヨーロッパやアメリカでのツアーやフェス出演も次々と実現。昨年9月には、海外の著名プロデューサー/ミュージシャンを多数迎え、全編英語詞で歌う最新作「Prema」を世に問うている。今回の「コーチェラ」出演は驚きというより、着実に次のステップを踏んだという印象だ。セットは「Prema」を軸とした構成だと思われるが、日本民謡とヒップホップ/R&Bの邂逅と言うべき「It’s Alright」のような、藤井風にしか作れない強烈な楽曲も披露されるのか、そしてそれが観客からどのような反応を引き起こすのかが注目される。
Geese
いま一番熱狂的な支持を集めている若手インディーバンドと言えば、ギースを置いて他にいない。フォークやカントリーにとどまらず、フリージャズやファンクまでを飲み込んだ異形の傑作「Getting Killed」は、オーディエンスとメディアの双方から高い評価を獲得。今年2月の初来日公演では、強靭なグルーヴを叩き出すリズム隊、エミリー・グリーンの変幻自在なギター、そしてキャメロン・ウィンターの悲哀と焦燥が入り混じった歌声が生む、爆発的なエナジーが会場を支配していた。繊細さと凶暴さ、混沌と美、虚無と希望がせめぎ合うそのパフォーマンスは、現在のインディー界においても突出している。「コーチェラ」のステージでも、その圧倒的なライブバンドとしての実力を人々の目と耳に焼き付けるだろう。
3日目/4月12&19日(日本時間13&20日)
Karol G
ラテンポップ界でも指折りのグローバルな人気を誇るカロル・Gは、2022年の「コーチェラ」初出演から4年の時を経ての凱旋。ラテンィーナとして初のヘッドライナーという歴史的に重要な意味も持つ。初出演時は、ラテンのコミュニティーとその音楽を世界に向けて発信すべく、90年代から現代までのラテンヒットメドレーをセットリストに入れ込み、J・バルヴィンやベッキー・Gをステージ上に迎えた。そして今回はヘッドライナーとなったことで、「ラテンのコミュニティーを代表する責任」を一層強く感じ、それを表現する準備を進めているという。ラテン音楽文化へのオマージュである最新作「Tropicoqueta」の世界観は、彼女がこの特別なライブで目指す方向性と一致する。個人としての成功物語を超え、ラテンコミュニティー全体を祝福するスケールの大きなパフォーマンスとなるだろう。
Young Thug
変幻自在のフロウと予測不可能な音楽性、そしてビートに対するエキセントリックなボーカルのアプローチで、ヤング・サグはラップミュージックにおける独自の地平を切り開き続けてきた。2024年末に長年にわたる法廷闘争が終結し、翌年には最新作「UY SCUTI」をリリース。26年に入ってからもフレッド・アゲイン、ナヴ、トリッピー・レッドとのコラボを重ねるなど、活動は加速している。さらに先日、自身のSNSで新作「DBC」のリリースを示唆。そのタイトルが「コーチェラの一日前(A Day Before Coachella)」の頭文字ではないかとの見方が広がっており、フェス直前にサプライズドロップの可能性も取り沙汰されている。もしこの噂が本当となれば、「コーチェラ」は新作をどこよりも早くライブで体験できる貴重な場となる。
Laufey
オーセンティックなジャズやボサノバをガーリーな視点から捉え直して、同世代の女性が共感出来る現代的なポップへと生まれ変わらせたのがレイヴェイである。サウンドはタイムレスである一方、歌詞では等身大の恋愛観が素直に歌われている点も、若い女性から支持が高い理由の一つだろう。ある意味、オリヴィア・ロドリゴがエモでやったこと、ピンクパンサレスがドラムンベースでやったことを、レイヴェイはジャズでやっている。2024年の「サマーソニック」では、演奏能力の高さ、歌の上手さ、ステージでの華を全て兼ね備えていることを証明していた。「コーチェラ」では彼女の世界観がより豪華な演出で再現され、甘くロマンティックで洒脱な空気が会場を包み込むこととなるに違いない。
Clipse
弟プッシャ・Tと兄マリスからなるクリプスが16年ぶりに放った「Let God Sort Em Out」は、2025年を代表するヒップホップアルバムの一枚として高く評価された。全曲プロデュースを手掛けたファレル・ウィリアムスによるミニマルでシンセの効いたビートと、兄弟2人の鋭利なフロウ、ダブル/トリプルミーニングを多用したリリックの精度は現在もトップクラスにある。今年のグラミー賞授賞式では、ゴスペル隊とファレルを迎えた重厚なステージを披露。今回はより凄みを増したラップと揺るぎないコンビネーションを存分に味わえる、貫禄のパフォーマンスが観られるだろう。
FKA Twigs
FKAツイッグスは、前衛的な電子音楽とポップを衝突させると同時に、スタイリングやメイクなどの視覚イメージやダンスによる身体表現にもこだわり抜くことで、総合的なアートパフォーマンスを追求してきた。そんな彼女のビジョンは、視覚・身体性が前面に押し出されるライブの場においてこそ最大限に具現化される。クラシックダンスの訓練を受けてきた彼女は、ダンサーたちと一体化したような精緻な振付や、ポールダンスや剣術など自身の身体能力を極限まで引き出したパフォーマンスによって、ステージ全体をひとつの作品として構築する。昨年発表された「Eusexua」「Eusexua Afterglow」はレイヴカルチャーに着想を得たダンスアルバムだったが、その躍動するサウンドが彼女特有のステージ演出とどのように結びつくのか。今回のライブでは、先鋭的な音楽と研ぎ澄まされた身体性が結合したパフォーマンスの最新形が提示されるはずだ。
Little Simz
そのエクレクティックな音楽性でUKラップの枠組みを押し広げてきたリトル・シムズは、いまもっとも広範な人気を得ている英国人ラッパーの一人だ。昨年の「フジロック」では、日本で初めてバンドセットを披露。エズラ・コレクティヴのメンバーの弟であるギターのマーク・モリソン、元ブラック・ミディのドラムのモーガン・シンプソン、そしてベースのマルラ・ケサーから成るバンドが放つ、恐ろしくタイトでグルーヴィーなアンサンブルに観客は驚嘆。そしてそのバンドサウンドの上で展開されるシムズの鋭いラップと、笑顔で音に身を委ねて踊るパフォーマンスは、会場全体に躍動感と開放感をもたらしていた。「コーチェラ」でも、そんな最強のバンドとシムズが一体となった極上のライブが繰り広げられるはずだ。
Oklou
エレクトロポップやブリティッシュフォークから中世/クラシック音楽やユーロトランスに至るまでを、深い霧に包まれているような幽玄なムードでまとめ上げた「Choke Enough」は、オーケールーを一躍時の人へと押し上げた。ハイパーポップにも影響を受けているというが、そのサウンドはハイパーポップ的なマキシマリズムとは対極にある、アンビエントで控えめな空気をまとっている。むしろ“ポストハイパーポップ的”と位置付けられるような新鮮さを感じさせるものだった。音源では陶酔的かつドリーミーな世界観だが、それがライブではどのように具現化、あるいは異化されるのかが注目点となる。もちろん、コラボ経験があるFKAツイッグスやピンクパンサレスとの共演が実現したら、大いに盛り上がることは間違いない。
番外編
Radiohead
今年のコーチェラのポスター最下部には、「The Bunker Debut Of RADIOHEAD KID A MNESIA」という一文が記されている。長らく詳細は伏せられたままだったが、レディオヘッドの歴史的名作「Kid A」と「Amnesiac」のレコーディング中にトム・ヨークとスタンリー・ドンウッドが制作したスケッチやコラージュや音声などの断片から構成された75分の大型映像作品であることが、フェス主催者からついに明らかにされた。「コーチェラ」のアプリ版のタイムテーブルには「Radiohead Motion Pictures House:Kid A Mensia」と表記されていて、各日5回ほど枠が取られている。いまのところ配信のスケジュールには載っていないものの、万が一、配信されることがあったら絶対に観ておきたいスペシャルなインスタレーションだ。



