パルグループホールディングス(HD)は、次世代顧客との接点に力を入れる。その一環として、3月18日に奈良県立高田高等学校で講演を行った。高田高校が取り組む探究学習の特別講座に講師として招かれたもので、「スリーコインズ(3COINS)」の角屋悠太ブランド長と、下市町の同社運営の複合型商業施設「キト フォレスト マーケット シモイチ(KITO FOREST MARKET SHIMOICHI)」の平野孝嘉ディレクターが1、2年生約720人を前に講演した。
高校生になじみのあるブランド
同社が高校で講演するのは初めて。学校側の要請に応じた形だが、新たな顧客層との接点を得る絶好の機会となった。生徒たちも普段の授業では学ぶことのできない業界の実情を聴けるとあって熱心に耳を傾けていた。
高田高校がパルグループを選んだ理由は、高校生になじみのあるブランドを展開している企業であること、創業者・井上英隆氏が奈良県出身で地域創生事業などに取り組んでいることがあった。教頭の阪田安弘氏は「生徒の感性に響き、新しい行動の一歩になる内容にしたかった。パルグループなら普段聞けない話でワクワクする時間を提供していただけると思った。当校の探究学習のテーマと重なり、新規事業にチャレンジされてる姿勢も、生徒たちにとって大きなプラスになる」と説明する。
一方、パルグループは将来の顧客となる若者たちと接点を持ちたかった。「高校生世代にアプローチするミッションがあり、講演はその一環。まずはブランドの認知を広げたい」(広報担当)としている。
講演では、それぞれの事業について分かりやすく説明。質疑応答では、生徒から具体的な質問が相次いだ。
「スリーコインズ」の商品企画についての質問に対して、角屋ブランド長は「困ったときは必ず現場に足を運ぶ。いろんな店舗を回って、どんなお客さんがどんな商品を手に取っているのかを細かく観察する。そこからヒントが必ず生まれてくる」と答えた。「スリーコインズ」の立ち上げの経緯を聞かれると、「32年前、3人のメンバーで始めた。当時は百均のダイソーが勢いのある時期で、アパレルの会社が雑貨事業に参入するのは大きなチャレンジだった」と話した。
「高校時代にやっておいてよかったこと、やればよかったと思うことは何か」といった将来を見据えた質問も出た。角屋ブランド長は学生時代に5つほどアルバイトを掛け持ちした経験を挙げ、「さまざまな人の考え方があることを学んだ。それが今の柔軟性や乗り越える力につながっている」と答え、「学生生活は限られた貴重な時間。友達や仲間と過ごす時間を大切にすることが次のステップにつながる」と続けた。平野ディレクターは「もっと勉強しておけばよかった。社会問題への知識があれば、もっといろんなことができたと思う。成功している人は皆、本を読んで勉強している」と答えた。また「好きなことがあるのに何も行動しないのが一番もったいない。チャレンジして失敗することを恐れずに一歩踏み出してほしい」と生徒に向けて語りかけた。
キャリア形成を考える機会に
講演の感想を2年1組の北川明日香さんはこう話す。「『スリーコインズ』は知っていたけど、会社のことは全然知らなかったので有意義な時間になったし、より身近に感じられた。『スリーコインズ』には使い勝手のいいものがたくさんあるが、ターゲット年齢が自分よりもっと上だと知って驚いた」。
高田高校は国の学習指導要領より2年早い1996年から探究学習に着手し、独自の取り組みを重ねてきた。「指示されたことは真面目にできるが、自分たちで課題を見つけて解決していく力が当校の生徒には不足していた。主体的に行動を起こせる生徒を育てるために探究学習を始めた」と中澤隆志校長は振り返る。
社会人を招いての特別講座は2025年度に3回実施した。パルグループは、トヨタ自動車のエンジニア、JR西日本の元社長に続く開催となった。阪田教頭は「閉塞感のある現代において、成長し続ける企業の秘密やポテンシャルを感じ取り、生徒たちの生き方や勉強への取り組み、キャリア形成につながることを期待している」と話す。
パルグループは近年、300人規模の新卒採用を行っており、初任給の引き上げにも積極的だ。今回の取り組みは、将来の顧客となる若年層の開拓だけでなく、人材の確保にもつながる第一歩としている。