
服地卸大手のスタイレム瀧定大阪(未上場)は、日本のサプライチェーンへ積極投資する。今年度から3カ年の中期経営計画では売上高や利益の拡大掲げず、日本の繊維産地全体を底上げすることで競争力を高める。瀧隆太社長は「国内外で服地販売を主力にする当社にとって、日本の(テキスタイル)サプライチェーンは基盤そのもの。この3年間はその基盤強化に注力する」という。
スタイレムはコロナ禍以降、小規模ながら産地企業との協業を拡大してきた。2024年11月には石川の撚糸メーカーで、北陸地区で積極的に業容を拡大してきたシモムラと合弁会社WS(ダブリューエス)を設立する一方、25年4月には尾州の小塚毛織とともにションヘル織機で企画・生産された服地販売会社であるカナーレジャパンを設立していた。
今後3年間ではより大型の設備投資などにも踏み込むことを検討する。「中長期的に今後も日本のテキスタイルメーカーが世界市場で評価を得るためには、大きな設備投資が必要になる。特にサステナビリティに関しては、市場参入のための“ライセンス”になる。そういった企業との関係を深めていく」と瀧社長。これまでも織機などの購入を負担することはあったものの、今後はより大きな投資が必要な染色加工設備などにも広げる。
26年1月期は増収増益、東京での不動産取得も

スタイレム瀧定大阪の2026年1月期連結決算は、売上高が前期比7.5%増の913億円、営業利益が同2.2%増の51億円で、営業利益は5期連続の増益だった。主力の服地販売が伸び悩んだものの、OEM・ODM事業が好調だった。
国内外で服地を販売する主力の生地事業の売上高は前期比3.2%減の437億円、OEM・ODMの衣料製品事業は同21.6%増の400億円、オリジナルブランドのタオル販売などを手掛けるライフスタイル製品事業同18.4%増の42億円、原料事業は6.9%減の20億円、カットソーブランド「リフィル」などの自社ブランドなどのその他事業は14.7%増の13億円だった。
また、単体では東京への2本社制への以降に伴い、東京での不動産を取得。有形固定資産は10億6800万円増、その他固定資産(4億3700万円増)などで投資その他の資産は9億8900万円増と、固定資産は21.7%増加し、119億円だった。
短期借入金を10億円減少させる一方、純資産を33億円増やしたことで、自己資本比率は前期比で3.4ポイント改善し、60.5%に上昇した。
酒向正之・副社長は「大手企業を中心に、アパレル製品の調達が構造的に変化しており、海外の工場と直接取引する『直貿』が増加している。そのため当社でも日本に加え、海外でもテキスタイルを企画・生産し、製品で納入するビジネスが拡大した。ただ当社の強みの根幹であるテキスタイル事業は現在の規模を維持する。付加価値の高いアイテムを企画・開発するなど、やれることは全部やる」という。