
ストレッチ繊維「ライクラ(LYCRA)」で知られる米国の繊維大手ザ・ライクラ・カンパニー(The LYCRA Company、旧インビスタ)はこのほど、日本の民事再生法にあたるチャプター11(米連邦破産法11条)を申請した。申請はあらかじめ債権者の同意を得るプレパッケージ型で、約45日での完了を見込む。主要債権者と合意した再編計画に基づき、約12億ドル(約1908億円)の負債を削減する。
再建期間中も、事業は通常通り継続する。運転資金としてDIPファイナンス(つなぎ融資)を含む資金手当ても確保済みで、サプライチェーンへの影響を最小限に抑える。同社によると「顧客やサプライヤーへの影響はない」としており、供給網の混乱は回避できる見通しだ。
同社はポリウレタン繊維を使ったストレッチ繊維「ライクラ」を筆頭に、吸汗速乾ポリエステル繊維「クールマックス(COOLMAX)」、中空型の保温素材「サーモライト(THERMOLITE)」などの機能素材ブランドを展開してきた。いずれの素材も同社がかつて世界初、あるいは世界トップブランドとして君臨してきた名門素材メーカーになる。
これらの繊維事業はデュポンが行ってきたが、2004年に大掛かりな事業構造の一環で、傘下に「ゴアテックス」などを抱える米国の大手複合企業のコーク・インダストリーに売却。2017年には中国の繊維大手である山東如意グループの傘下入りを発表し、その際には伊藤忠商事も出資していた。山東如意の経営不振に伴い、22年には債権者であるファンドが運営にあたっていた。
日本では、繊維大手の東レとの合弁会社である東レ・ライクラが日本で「ライクラ」製造・販売している。東レは、「現時点では事業の継続と供給に関して影響はない。情報収集を進める」とコメントしている。