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サックス&ニーマン連合破たん続報 系列店舗の大量閉店は確実、ブランド統合もあり得る!?

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米高級百貨店の運営および店舗の土地開発などを行うサックス・グローバル(SAKS GLOBAL)が1月13日、日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条の適用を申請した。ECとの競争激化やインフレの長期化による百貨店離れ、競合企業の買収費用が重く資金繰りが悪化したことなどが要因。サックス・グローバルは債券保有者らから17億5000万ドル(約2765億円)の資金を確保しており、営業を継続しながらの事業再建を目指す。

サックス・グローバルは、米百貨店サックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)などを擁するカナダの小売り大手ハドソンズ・ベイ・カンパニー(HUDSON'S BAY COMPANY. 以下、HBC)が2024年7月、米百貨店ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)やバーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)を運営するニーマン マーカス グループ(NEIMAN MARCUS GROUP. 以下、NMG)を26億5000万ドル(約4187億円)で買収して誕生した新会社。HBCを率いるリチャード・ベーカー(Richard Baker)会長兼最高経営責任者(CEO)がエグゼクティブ・チェアマンに、CEOにはマーク・メトリック(Marc Metrick)=サックス・フィフス・アベニューCEOが就任した。ベーカー=エグゼクティブ・チェアマンは当時、サックス・グローバルは年商100億ドル(約1兆5800億円)規模になる見込みで、内訳はサックス・フィフス・アベニューが60億ドル(約9480億円)、ニーマン・マーカスは40億ドル(約6320億円)と語っていた。しかし米国では、百貨店はECにシェアを奪われ続けている。

これを受けメトリックCEOは退任し、今回の申請を機にベーカー=エグゼクティブ・チェアマンも退任。買収以前にNMGのトップだったジェフロイ・ヴァン・ラムドンク(Geoffroy van Raemdonck)前CEOがサックス・グローバルのCEOに就任して事業再建などを率いる。

シャネルやケリング、リシュモンが多額の援助
関係性の改善は、最優先事項

同社には近年、多くのブランドが多額の援助をしている。裁判所に提出した文書によれば、サックス・グローバルに対する無担保債権者および金額は、シャネル(CHANEL)が1億3600万ドル(約214億円)、ケリング(KERING)が5990万ドル(約94億円)、カプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)が3330万ドル(約52億円)、メイフーラ(MAYHOOLA)が3320万ドル(約52億円)、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)が3000万ドル(約47億円)など。ただ、こうした債権を回収できる可能性は高くなさそうだ。

すでにサックス・グローバルは前述企業への債務の支払いに1年以上も応えられておらず、今回破たんでデザイナーズブランドの取り扱いは難しくなりそうだ。ヴァン・レムドンクCEOはブランド各社に対して破たん手続きの間も取引を継続するよう説得に奔走しており、ブランドへの書簡では破たんの意味を説明しつつ、店舗は引き続き営業し、顧客サービスも継続することを強調している。手続きによって「バランスシートを強化し、資本構成を簡素化し、ブランドと顧客のためにラグジュアリー小売業における長期的なリーダーシップを維持していくための基盤を築くことができる。今年後半には、連邦倒産法第11章の適用から、より強力な企業として脱却できると期待している。パートナーの皆さまは当社の成功に不可欠であり、お客さまへのサービス提供において重要。私たちは優れたパートナーになることを目指し、卓越した製品、質の高い体験、そして高度にパーソナライズされたサービスをお客さまに提供することに注力している。現時点では全ての質問にはお答えできないが、未払金に関する質問への対応は引き続き優先事項。今後も皆さまとの継続的な対話に尽力し、新たな情報が入り次第、随時お知らせする」と説明した。

これに対して、ブランドはどう反応するのか?破産案件に精通したパチュルスキ・スタング・ジール・アンド・ジョーンズ法律事務所のブラッドフォード・サンドラー弁護士は、「ブランドとの関係性への影響は甚大で、関係修復がなければ、ブランド側がサックスを清算させてしまう可能性もある。多くのブランドは存続を望んでいるが、どんな犠牲を払ってでも、というわけではない」と捉える。

多くのブランドにとって、サックス・グローバル規模の事業の穴を埋めるのは容易ではない。同社が裁判所に提示した資料は、「(ラグジュアリー・ブランドのインショップ形式の店舗の)既存店売上高はプラスを記録している」と主張する。また同社は、3つの小売店の事業統合により年間2億ドル(約316億円)のシナジー効果を達成していると主張した。

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