百貨店の主要店舗の2024年度売上高(総額売上高)が出そろった。引き続き富裕層や訪日客の旺盛な消費によって、大都市の基幹店では過去最高の更新が相次いだ。特に上位の伊勢丹新宿本店、阪急本店、JR名古屋高島屋の快進撃が続く。一方、富裕層や訪日客の恩恵が少ない地方や郊外の店舗の苦戦は変わらずで、24年には島根県と岐阜県でそれぞれ唯一残っていた百貨店が閉店した。
主要店舗の24年度売上高ランキングは下記の図表の通り。1000億円の大台に乗せた店舗をピップアップした。そごう・西武は23年度から店舗売上高の公表をしていない。22年度は西武池袋本店(現在大規模改装工事中)が1768億円、そごう横浜店が1063億円だった。日本百貨店協会によると24年の全国百貨店売上高は既存店ベースで23年比6.8%増の5兆7722億円だった。19年と比べても3.6%増で、初めてコロナ前の実績を上回った。日本百貨店協会に加盟する店舗は168店舗あるが、上位10店舗で約3分の1のシェアを占める。
2024年度 百貨店店舗別ランキング(★は過去最高)
1位は伊勢丹新宿本店 コロナ前に比べて約1500億円増
長年1位を誇る伊勢丹新宿本店は、売上高を初めて4000億円台に乗せた。前年比12.1%増の4212億円。日本百貨店協会に所属する東京地区の百貨店は22店舗だが、伊勢丹新宿本店だけで約4分の1のシェアを持つことになる。
細谷敏幸社長は「入店数はコロナ前に完全には戻っていないが、一人あたりの買い上げ金額が上昇している。新宿本店は約70%が識別顧客(アプリ会員、カード会員、外商会員など)を占めており、このお客さまたちと深くコミュニケーションができた」と述べる。最も深い関係を築くのが外商である。上位の外商会員のために店舗を貸し切って開く催事「丹青会」(25年1月31日)の売上高は、過去最高の46億円に達した。24年11月には本館に開店以来初めて「ルイ・ヴィトン」の常設店舗を設けるなど、富裕層の期待に応えてきた。
訪日客による免税売上高は前年比50.7%増の756億円で、全体に占めるシェアは18.0%だった。
同店のコロナ以降の伸び率は凄まじく、19年度と比べると約1500億円も上乗せされたことになる。この間、22年10月に近隣の小田急百貨店新宿店が本館を閉店し、規模を大幅に縮小。23年1月には東急百貨店渋谷本店(東急本店)が閉店した。24年に入ると、西武池袋本店が大規模改装工事で大部分のフロアの営業を休んだ。それらの顧客の受け皿になった側面もある。
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