阪急阪神百貨店は17日、阪急うめだ本店の5〜6階に20日オープンする新しい特選フロア「HANKYU LUXURY(阪急ラグジュアリー)」を関係者に公開した。これまで婦人服が中心だった6階をほぼ1年がかりで大規模改装し、特選フロアの売り場面積を約1.6倍の合計1万3246平方メートルに増床した。「エルメス」「ルイ・ヴィトン」「シャネル」の数百坪級の大型店をはじめ、67ブランドの商品、店舗環境、サービスで国内外の富裕層を呼び込む。
目の肥えた国内外の富裕層のニーズに応えるため、大半のブランドにVIPルームを設置した。路面の旗艦店はともかく、百貨店内のブティックで個別のVIPルームをここまで充実させる事例は珍しい。超富裕層に向けて数千万円のジュエリーや時計の品ぞろえを各ブランドで増やしており、高額品を周囲の目を気にせずに個室でじっくり選べるようにした。シャンパンやケイタリングフードの提供など個室ならではの手厚いサービスでもてなす。
特に「エルメス」「ルイ・ヴィトン」「シャネル」の大型店は、複数の趣向を凝らした大小さまざまなVIPルームを設ける。バッグや服だけでなく、ホームコレクションも扱うなどライフスタイル全体を提案する。高級時計の「ロレックス」も売り場の奥に5部屋を配置した。メゾネット型の「ルイ・ヴィトン」「シャネル」は店内にエレベーターまで新設した。
改装の指揮を執った阪急阪神百貨店の加藤清久ゼネラルマーチャンダイザーは、「長年、阪急うめだ本店はターミナル立地のトラフィックに頼ってきた。これを機に国内外のお客さまの体験価値を求めてわざわざ訪れる場へと変えていきたい。目の肥えたVIPのお客さまに対しては、高額品をカウンター越しに接客するのではなく、ふさわしい空間(VIPルーム)で接客する必要がある」と話す。
ラグジュアリー、時計、宝飾の有力ブランドのブティックを誘致しているが、いわゆるハコ型の集積にならないように配慮した。フロアデザインを担当したデザイナーの柳原照弘氏は、ブティックを隔てる壁を極力減らし、サインの大きさや配置にも工夫を施して、「阪急ラグジュアリー」というコンセプトフロアの一体感を出すように演出した。ワンストップで世界中の一流品に触れられる設計により、路面の旗艦店とは買い回りのしやすさで差別化する。
阪急うめだ本店は国内外を問わずに広域から集客する「グローバルデパートメントストア」をコンセプトに掲げる。年間に数百万円、数千万円消費する訪日客には「海外顧客VIP倶楽部」への入会を促す。さらに上位顧客の来店時には、フルアテンドで館内を案内するアテンドスタッフを増強中だ。来日時以外でも日常的に商品や催事の情報をウィーチャットなどでやりとりする。
外商員など百貨店側のスタッフと、ブランド側のスタッフが連携し、LTV(顧客生涯価値)を高める。山口俊比古社長は「チーム戦によってお客さまの満足を最大化する挑戦」だと説明する。「(大型改装が終わって)これからが本当の勝負。国内外の富裕層やブランド顧客のLTVを高めていくことはもちろん、新しいお客さまをどのように獲得していくかが重要だ」と意気込む。
24年から今年まで複数のフロアにまたがる大型改装に約120億円を費やした。中でも最大の投資が「阪急ラグジュアリー」だった。富裕層および超富裕層に対しては、25年2月、13階のレストラン跡地(1000㎡)を体験型VIPサロンへと刷新した。外商の中でも最上位の顧客を対象にした空間で、顧客一人一人に向けて特別な商品提案やイベントを行う。
阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)の24年度(25年3月期)の売上高は3653億円。大規模改装のよる縮小営業ため25年度の売上高はいったん減収になるが、26年度は4000億円の大台に乗せる計画だ。実現すれば、伊勢丹新宿本店(24年度4212億円)に迫るスケールになる。