
「ヨーク(YOKE)」は15日、「楽天ファッション・ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」2026-27年秋冬のトップバッターとしてコレクションを渋谷ヒカリエで発表した。26-27年秋冬パリ・コレクションで発表した内容をベースに再構成し、東京では初のウィメンズラインを提示。25体のルックを披露し、東京コレクションの幕開けを飾った。
「ユニセックス」の限界から
“本気で”ウィメンズと向き合う
18-19年秋冬コレクションのデビュー当初から「ヨーク」は「ユニセックスブランド」として展開してきた。しかし実際にはメンズの服を女性が着る形となっていたという。寺田典夫デザイナーは展示会で女性が試着する中で丈感やシルエットに違和感を覚える、もどかしい場面もあったと振り返る。「『ユニセックス』という言葉の限界も感じていた」。
ウィメンズラインの投入により、メンズとユニセックスの間に新たなグラデーションが生まれ、コーディネーションの幅を広げることを目指した。「ウィメンズの拡大は目的ではない。あくまで目的はブランドの世界観を広げること」。
ショーには、素材が持つ質感や落ち感を生かしたルックが登場。マフラーを腰に垂らすスタイリングや腰に歪みを生むボタンの付け外しなどに、ブランド自体が持つバランス感覚が息づく。ウエストの絞りや着丈の調整などで女性の体のラインを拾い、ジャケットやコートの張り感が、“媚びない”女性らしさを生む。
寺田デザイナーは新たな挑戦を前に「メンズブランドがウィメンズを作る意味」を改めて考えたという。その中で導き出した女性像は「男性が憧れる女性像」。男性目線で「かっこいい」と思える女性像を軸に、スタイリングやヘアを統一した。
パリと東京
2つのショーで「完成」へ
同ブランドは、東京都と日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催する「ファッションプライズオブトウキョウ2026(FASHION PRIZE OF TOKYO)」を受賞し、26年1月にパリコレクションでショーを開催。今回の東京ショーも同アワードの支援によって実現した。
パリでのショーはブランドの新しいフェーズを示すことを意識し、メンズのみの構成とした。「“メンズの強さ”を改めて出し、そこを評価してもらった。(パリでの発表の)一発目として分かりやすく伝えることができた」と振り返る。ランウェイ後の展示会では約20店のアポイントがあり、新規で10店舗の取り扱いが決定。現在は海外取扱店舗が合計32店舗まで拡大しているという。
今シーズンは、パリのメンズと東京のウィメンズの2つのショーをもってコレクションが完成する構成とした。東京でのショーではパリの街の様子を映した映像やショーの様子を背景に流し、同じ音楽でありながら微細な調整を加えて変化を持たせるなど、リンクしつつもサプライズを感じさせる演出とした。
パリを前に見えた
「日本ブランド」の強み
「ヨーク」はここ数シーズン、「シュルレアリスム」をテーマに掲げ、ギミックやドッキングが印象的なコレクションを提示してきた。だが、パリでの発表を前に日本の生地や素材の素晴らしさを改めて痛感したという。「海外での挑戦を前にデザインとしての強さを出そうとする自分もいた。しかし改めて日本のモノづくりの強さを見つめ直した」。その結果、素材が生きるシルエットや丸み、直線的ではない形を意識したコレクションとなった。
その手応えは海外での反応からも実感しているという。展示会では日本の素材や縫製技術への評価が多く、生地メーカーとの商談でも日本の素材のクオリティの高さを再認識した。海外バイヤーからの評価も高く、「やっぱりこっちなんだなという感覚があった」という。
東コレ開幕ショーとしての使命感
パリでの初めての発表を経て、日本ブランドとしてどう見られるのかを改めて意識する機会も増えた。プライズの受賞ブランドとしてのパリでの発表に加え、東京コレクションのトップバッターを務める責任感もあったが、「妥協したくない」という思いが「ヨーク」を新しいフェーズへと押し上げた。
ショーを終え、寺田デザイナーは「めちゃくちゃホッとした」と率直な感想を語った。その飾らない姿勢は変わらないまま、「これからもパリでショーを続けたい」という思いを胸に、「ヨーク」は次のステージに向かう。