ファッション
【特集】2026-27年秋冬東京コレクション

「アンセルム」深化する素材への探究心、広がる“着る人”の共鳴

アンセルム(ANCELLM)」は3月16日、「楽天ファッション・ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO、以下RFWT)」で2026-27年秋冬コレクションを発表した。会場は元銀行建築のバンクパーク ヨコハマ(BankPark YOKOHAMA)。ブランド設立6年目を迎え、「より表現の幅を広げたい」と素材加工への追求を深めた38体のルックを公開した。

「アンセルム」のクリエイションは常に、山近和也デザイナーの素材加工への探究心から始まる。今季はこれまで挑戦していなかったウールなどの素材を使用し、生地表面の見え方に注力した。表面の羽毛感が「気持ちいい」と感じるまで洗い縮めたり、素毛の表面に同系色を重ねたりする加工で、奥行きのある表情を生み出した。

デニムは、一般的な工程の約2倍のプロセスを重ねた。水彩画のようなグラデーションは、洗いをかけた後に手作業で色を調整。黒に染め上げた後にウオッシュを施し、パッカリングや縫い目に色が残るように調整することで、縁取られたような独特の表情に仕上げた。また、ダウンジャケットにはコットンとナイロンの混紡素材“ロクヨンクロス”を採用。コットンのみ脱色して染色を重ね、色の差から生まれる表情を引き出した。

ショーでコレクションを見せるやりがいや手応えから、さらにより良いものにしたいとチームで“見せ方”も追求。秋冬コレクションでありながらフラットで軽やかな空気感に仕上げた。茶色のレザージャケットのファーストルックから黄、赤、柄物が差し込まれ、後半にかけて白色のルックが増えていく構成は「春に向かっていく様子を表現した」という。

着実な成長に左右されない“実直さ”

「アンセルム」は25年9月にRFWTの公式スケジュールに初めて参加し、26年春夏コレクションのショーを開催した。「1年を通してブランドのアティチュードを伝えたい」という思いがあり、当初から2度目のショーを構想していた。初参加ながらファンを含めた来場者数の多さとその熱量で注目を集め、その後の26年2月には青山に旗艦店をオープン。ビンテージの風合いや色合い、経年変化を思わせる加工でファンを獲得してきた。

順調に見えるブランドの歩みとは裏腹に、山近デザイナーの視線は常に素材の面白さに向いている。自由な発想から生まれる加工表現はすべて、「(経験がない)生地に対して『実験したいな』と思う」好奇心が出発点だ。「考えているときが一番楽しい。完成まで自分でもめんどくさいくらいこだわってしまう」。その姿勢から、時にはシーズンを超えた時間を費やし、地元・岡山県のラボで素材の実験を続けている。

今後はショーに限らず、ポップアップなどイベント形式で海外の顧客と直接コミュニケーションを取る機会を増やす。「とても時間をかけて1つのアイテムを作っているので、多くの人に手に取ってほしい気持ちがある」。ショー開催後のエンドユーザーからの反応も大きく、今回のショーの配信を楽しみにしているファンも多いという。「洋服は、完成した瞬間ではなく ⽇常の中で変わり続けるもの」。「アンセルム」の服作りの姿勢は、着実に“着る人”の心をつかんでいるようだ。

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