
PROFILE: 牛江桃子(ももち)
多幸感がにじむ艶肌の持ち主、心身美容家の「ももち」こと牛江桃子による初の美容本「心身美容」(KADOKAWA)が発売された。肌を育むサプリメントからスキンケア、ハッピーオーラを作るメイクの愛用品や取り入れ方。さらには、「自分を好きになれない」「自信が持てない」といった心の曇りをなくすマインドセットまで、丁寧に書かれている。
30歳の誕生日を迎えたばかりのももち。多様な選択肢や考え方がある中で、周りと比べたり、自分を見失いそうになったり……。毎日SNSに触れるうちに陥りがちな悩みに対し、心の片隅に置いておきたい言葉をくれた。
健やかな心と体から湧き出る美しさが、“心身美容”
WWD:本書のタイトルであり、ももちさんの発信のコアとなっている“心身美容”とは?
牛江桃子(以下、ももち):私自身、メイクやスキンケアといったアウターケアばかりに特化して、インナーケアや心のケアを怠ってきた経験があります。肌荒れが全然治らなかった20代前半、試行錯誤を繰り返す中で、内側と外側のケアを並行して初めて、美しさを磨けることに気づいたんです。
「心身ともに美しくなろうね」「心身ともに豊かでいよう」と発信を続けていくうち、“心身美容”という造語が生まれました。
WWD:初の美容本「心身美容」は、どんな方に届けたいですか?
ももち:「今のままで人生を終わらせたくない」と感じている人に読んでもらいたい。健やかなマインドセットの持ち方、サプリなどのインナーケア、スキンケアやメイクのアウターケアと、全部を詰め込んだ1冊になっています。
「変わりたい」「自分を好きになりたい」「人生を本質的に豊かにしたい」と思っている方に、お守りとして手に取ってもらえたらうれしいです。
WWD:お守りとして本を持つ、すてきな発想ですね。
ももち:人っていい意味でも悪い意味でも、忘れていく生き物じゃないですか。なので、継続学習をすることがすごく大事だと思っていて。1回読むだけじゃなく、例えば1カ月に1回ページを開くのを習慣化してもらって、心身美容の大切さをインプットし直してもらえたらいいなと思います。
「ポジティブでいよう」と晴れの日に思っても、雨の日にはシュンとしてしまう。女性ホルモンによる感情の波だってあるし、数日前と今では感情も変わって、起伏があるのは当たり前。そんな当たり前の揺らぎは認めてあげつつ、立ち返る時のサポートになる1冊があればいいんじゃないかと思い、「心身美容」にまとめました。
心が消耗する完璧主義を手放す方法
WWD:「変わりたい」という方に、とくに読んでほしい章は?
ももち:難しいんですけど……ひとつ選ぶとしたら、「『まぁいっか』は魔法の言葉」というパート。私自身も人生の中ですごく救われた言葉でもあるので、ぜひ読んでほしいです。
今でこそ前向きな私ですが、もともとはネガティブで、考えすぎて生きにくさを感じていた過去もありました。苦しさを手放したいと思った際に、100点じゃない自分を許すことが大事だなとふと思ったんです。それで、常に「まぁいっか」を心に留めるように意識し、スマホの待ち受けにも「まぁいっか」の言葉を表示して。2年くらいかけてようやく自分自身に落とし込めました。
完璧じゃない自分を許せるようになったら、今度は他人にも思いやりの心を持てるようになる。他人のことを許せたら、自分のもとに人が集まるようになって、温かい言葉もかけてもらえる。そしたら、自分も誰かに温かい言葉をかけたくなりますよね。自分を許すことは、愛の循環が回っていくベースだと思っていて。それを整えてくれるのが「まぁいっか」っていう言葉なんです。
WWD:マインドセットを切り替えて、何か気づきはありましたか?
ももち:「まぁいっか」で片づけても、意外と仕事は回っていくこと。完璧主義なままでいなくても、色とりどりな人生が黒や白になってしまうわけではなく、カラフルであり続けるんだということに気づきました。
WWD:心身美容を体現する近道は何だと思いますか?
ももち:他人を変えることはできないから、自分を変えるしかないというマインドセットを持つことが、一番の近道。「誰かに幸せにしてもらいたい」とか、「誰かが自分を変えてくれるかも」って期待しても、それって結論、誰もやってくれなくて。自分でしか自分の思考も人生も変えられないからこそ、自己認識を深めることが大事だと思っています。
その上で、日常を生きてみると、目の前の小さな幸せに気づきやすくなったり、“当たり前”も当たり前じゃないんだなと思えたりもする。小さな自己成長を見つけるたびに自分で自分を褒めてあげられれば、前よりも豊かな自分に一歩ずつ近づけるんじゃないかな。
WWD:ももちさんからにじみ出る多幸感の秘訣は?
ももち:ひとつは、ファンの子にもずっと言い続けている“ご機嫌意識”で、もうひとつは精神的自立。自分の機嫌を他人に預けないことがめちゃくちゃ大事。自分の思考は自分で整えるし、自分の感情にも自分で責任を持つ。いい意味で他人に期待しなくなると、感情の起伏が穏やかになるんですよね。そうすると、今度は精神的な自立が手に入る。
精神的に自立していて、誰かに依存していない人から、真の多幸感ってにじみ出るんだと思っています。
WWD:自分と他人との境界線をしっかり持っていたとしても、ときに感情が揺らいでしまうことはないですか?そんな時ときはどう対処していますか。
ももち:もちろんあります。ちょっとイラッとしたり、引っかかったりとか、日常であるじゃないですか。そうなったとして、ここからの時間を嫌な気持ちのまま過ごすか、自分で切り替えて楽しく過ごすか、どちらのほうが有意義で豊かな時間になるかなって、まず自分に問うんですよ。ここでも、「まぁいっか」の言葉が使えるんです。
経営者として、今はチームの皆で豊かになれる方法を模索
WWD:美容クリエイターとして活動する傍ら、経営者でもあるももちさん。経営と自身のコンテンツ制作などの両立に、心の余裕がなくなったりすることもあるのでは?
ももち:私、多分本当に人に恵まれていて。今、M-YOUには優秀なメンバーが集まっているんです。個々の能力が高い皆が、会社のために動いてくれたり、助けてくれたりするから、私自身の負担が大きくて大変ということはないかもしれません。
WWD:仕事を振る、任せるのが得意なんですね。
ももち:そうかもしれません。もとは完璧主義なので、前の自分は任せても任せきれなくて全部チェックしたり、管理したりしてしまっていたんです。でもそれだと自分も苦しいし、相手も苦しいじゃないですか。結局管理されているってなると、「信頼してくれてないじゃん」と感じてしまうので。だからここで、また「まぁいっか」の言葉を使います(笑)。
「まぁいっか」と切り替えて、人にちゃんと任せる。皆のことをめちゃくちゃ信頼しているけれど、最終的な責任は自分にあると思っているし、もし誰かがミスをしてしまったら、私が対処すればいい。なんなら、ミスがあったとしてもそれを乗り越えられれば、また自己成長につながるだろうという思考を持てるようになりました。
WWD:人材育成やチームワークを強固にする上で、どんなことを大切にしていますか?
ももち:「愛と感謝と誠実な心」「大切な人々の心や人生を、より豊かに」。会社の経営理念に、私の人生理念でもあるこの言葉を掲げているのですが、会社の文化として浸透させることを大事にしています。そして、チーム皆の仕事に対する目的意識もそろえたいなと思っていて、今一番注力しています。
「仕事は自己実現の舞台だよ」と、チームの皆には常に伝えていて。仕事をすることで自分の人生を豊かにする、仕事を使って自分を幸せにする、自己成長する。そんな考えを共有し、何のために働くかという認識にブレをなくせば、皆がモチベーションを高く保てたり、「M-YOUってこうだよね」という共通理解が深まったりすると思うんです。
WWD:タレントマネジメント事業やコンテンツプロデュース業のほか、今後は転職エージェント事業にも力を入れていきたいとか。
ももち:人生を豊かにするインフラを整えたいです。「大切な人々の心や人生を、より豊かに」というビジョンの通り、さらに多くの、いろいろな人の人生を本質的に豊かにするお手伝いをしていきたい。今後はさらに事業を拡げたいと思っています。
もうひとつは、M-YOU=ももちっていうイメージが強い。私が代表だから当たり前なんですけど、属人的な組織であることは課題だなとも思っていて。時間はかかるかもしれませんが、個人に依存しない組織作りを目指していければと考えています。
自分に時間が割けない30代こそ、自己認識を大切に
WWD:30歳の誕生日を迎えたばかりのももちさん。仕事もプライベートも、30代は人生の分岐点になるような出来事も多く、考えることや悩みも増えがち。同世代の女性にエールをいただきたいです。
ももち:自分軸とか自分の人生理念を忘れずに、共に豊かに生きましょうっていうメッセージを送りたいです。
30代は、人のために費やす時間が増えるフェーズに入っていくのかなって個人的に思っていて。私自身、自分のためにがむしゃらに生きてきた20代を経て、今は「会社のため」「社員のため」と主語が完全に変わったんですよ。結婚をして、「旦那さんのため」「家族のため」と他人軸で考えることも多くなりました。
幸せなことなんだけど、人のためだけに生きちゃうと、「自分って何のために生きているんだろう」とか、「自分が本当に好きなことって何だっけ?」とか、軸が分からなくなってしまう。なので、人のための時間や思考を大事にしつつも、時々は自分の軸や人生理念をしっかり明確化することを忘れないでと伝えたいです。
自分の人生理念をはっきりさせて、より豊かな毎日を送っていただくために、この本を書きました。自分軸をちゃんと持ちたい、取り戻したいという人にも、「心身美容」をぜひ読んでいただきたいです。