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「ビオトープ」札幌出店の決め手は「雪景色」 円山公園を借景に

ジュンは、セレクトショップ「ビオトープ札幌(BIOTOP SAPPORO)」をきょう11日にオープンする。地元市民の憩いの場である円山公園の隣に、物販と飲食の2棟の路面店で営業する。「ビオトープ」は東京・白金、大阪・南堀江、福岡、神戸に続く5店舗目。繁華街の喧騒から離れた環境で、ファッションと飲食のコンテンツを提供する。

大きな窓から四季折々の自然

広大な円山公園に隣接しており、物販棟(210平方メートル)と飲食棟(180平方メートル)の建物の大きな窓から園内の豊かな緑を望む。

ジュンの常務取締役で「ビオトープ」のクリエイティブディレクターである迫村岳氏は、3年前に初めてこの物件を紹介されたときは「ピンとこなかった」そうだ。しかし「その後、しばらく経って再訪した際、雪が積もる公園を見て、面白い店になるかもしれないと思った」と振り返る。

小売業にとって降雪はマイナス要素だが、円山公園では楽しそうに雪遊びをする観光客や地元の人々が大勢いた。雪を味方にできると判断した。周辺にファッション関連の店舗はほぼないものの、おしゃれなカフェやレストランが点在しており、落ち着いた雰囲気を好む大人が集まることにも可能性を感じた。

物販棟は以前からあったスクエアな建物を改装した。一方、新築した飲食棟は、北海道の牧場などで見られる腰折れ屋根を採用した。内装・外装は「ビオトープ」の白金と福岡の店舗を手がけた大堀伸氏が代表を務めるジェネラルデザインが担当した。2棟とも公園側に大きな窓を配置し、春に満開の桜、夏に青々とした緑、秋に鮮やかな紅葉、冬に一面の雪景色といった北国の四季を鑑賞できる。

物販棟は、らせん階段でつながる2フロア。アパレルや靴、バッグをはじめ、化粧品、フレグランス、生活雑貨などをそろえる。ウィメンズ、メンズで「メゾン・マルジェラ」「ルメール」「ジル・サンダー」「ザ・ロウ」「オーラリー」「ハイク」など国内外の人気の顔ぶれ。さらにオリジナルブランド「ヨービオトープ」も並べる。

オープン時は地元採用のスタッフとともに、白金の経験豊富なスタッフが接客に対応する。「ビオトープ」らしいファッションの知識が豊富で、フレンドリーな接客スタイルを移植する。飲食棟と合わせて、長い時間を過ごせるような店舗を目指す。

飲食棟は、日本の洋食をテーマにしたレストラン「キッチン BW ビオトープ」が営業する。ハンバーグ、ビーフシチュ、エビフライ、ナポリタンといった親しみのある洋食を値ごろな価格で提供する。メニュー開発は「ビオトープ神戸」に併設するカフェ&レストラン「BW ビオトープ」でシェフを務め、ミシュラン星獲得の実績を持つ大久保晋氏が担当した。公園を訪れる老若男女の利用を促す。

飲食棟の中央には薪ストーブを設置した。揺らめく炎を眺めながら、食事をしたり、コーヒーを飲んだりすることができる。レコードの音楽を高品質なビンテージスピーカーで流す。景色と空間演出によって、繁華街の飲食店とは一線を画した体感価値を作り出す。

トラフィックよりも優先させること

「ビオトープ」は2010年の白金を皮切りにスタートしたジュンのライフスタイル型セレクトショップ。札幌を含めた5店舗全てが飲食店併設で、じっくり滞在して買い物と食事を楽しめる作りにしている。これまでもファッションの店舗がたくさん立ち並ぶ繁華街からは、あえて離れた立地を選んできた。迫村氏は「『ビオトープ』に関しては、まず物件ありき。他にはない、ユニークな場所を常に探している」という。当初から多店舗化ではなく、オンリーワンに価値を置いてきた。

円山公園は、札幌の繁華街である大通地区から地下鉄で5分ほど。標高225mの円山の原生林、整備された公園、動物園、スポーツ施設などで構成され、面積は70ヘクタールに及ぶ。道内一の初詣客数を誇る北海道神宮も隣接する。周辺は札幌屈指の高級住宅街で洗練された雰囲気を持つ。最近は訪日客の姿も多い。

19年にオープンした「ビオトープ福岡」も繁華街から離れた大濠公園そばにある。「福岡は(出足の)コロナ禍こそ苦戦したが、この1、2年で急成長しており、顧客化が進んでいる」という。札幌も福岡と環境が近しい。繁華街のようなトラフィックがなくても、ディスティネーション・ストア(目的地となる店舗)として成立させるノウハウを積み上げてきた。

「ビオトープ」事業全体でも最近の売上高が2ケタ増と好調に推移する。「仮に同じ服であっても『ビオトープ』の店内で手に取ると他店よりも魅力的に映る。そのための工夫を重ねてきた」。迫村氏は、今回の札幌を含めた5店舗体制とオンラインショップで売上高40億円に届くと見る。

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