香港を拠点とするトラベル&ライフスタイルブランド「LOJEL(ロジェール)」はこのほど、東京・上野のPARCO_ya上野2階に日本直営1号店をオープンした。1989年に日本で創業した同ブランドにとって、原点回帰となる象徴的店舗だ。訪日客と国内客が交差する上野の立地を生かし、サステナブルなブランド体験を発信する場と位置付ける。
移動に寄り添うブランド哲学を体現
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ブランドコンセプトは「Design for Journey」。移動をシンプルにすることをモットーに、ミニマルなデザインであらゆる旅に寄り添うプロダクトを展開する。さらに、修理を前提とした製品設計を強みとし、全てのスーツケース商品には、10年の製品保証規定に基づいた保証を付帯。製品への再生素材の採用など、気候変動への影響低減に向けた取り組みを推進が評価された結果、2025年に「Climate Label」認証を取得した。また、環境、社会、ガバナンスを網羅する多角的な取り組みを通じて、2026年には「B Corp」認証も取得し、環境への影響にとどまらない持続可能性への取り組みをも確固たるものとした。
店内はそうしたブランド哲学を反映し、木目調の什器と温かな照明で、シンプルで心地よい空間に仕上げた。滑らかな曲線も多く取り入れ、製品のホイールのスムーズな動きも想起させる。一方で、カウンターにはシグネチャーカラーのテラコッタを採用。壁面では代表商品“キューボ(CUBO)”のカラーバリエーションを一堂に見せ、ブランドの遊び心も表現した。什器の一部には、“キューボ"の内装にも使用するリサイクルポリエステルを採用した。店内中央には、好きなパッチで製品をカスタムできるスペースを設けたほか、ポーチや革小物などのライフスタイルグッズもそろえる。
審美眼を持ったモダンなトラベラーと出会う場に
PROFILE:1983年、台湾・台中生まれ。1980年代に日本市場向けに発売されたトップオープン型ハードシェルスーツケースのパイオニアであるLOJELの創業家3代目。工業デザイナーとしての経歴を持ち、初期の構造的・美的感覚はロン・アラッドやヘルムート・ラングに深く影響を受けた。同社の製造部門で実務経験を積んだ後、ブランドの現代的な再生を主導した。2014年より現職
創業家3代目のアンチー・チャン=LOJEL Limited.最高経営責任者(CEO)は今回の出店について、「日本創業の原点に立ち返る場であると同時に、旅と日常に寄り添うライフスタイルブランドとしての姿を発信する重要な一歩だ」と話す。
「LOJEL」の歴史は1989年、創業者であるチーチャン・チャン(Chi Chang Chiang)が日本の富山県で製造パートナーを見出したことから始まった。当時、日本の優れた製造技術とクラフトマンシップに感銘を受けた創業者が、この地で最初のスーツケースを形にしたことがブランドの出発点となっている。
同社は現在世界30カ国でビジネスを展開。「高い耐久性や実用的な美学を重視する、審美眼の高い層に支持されてきた」という。「PARCO_ya上野店は、私たちが理想とする“モダンなトラベラー”のお客さまと出会う場として親和性を感じている。店舗体験の質を見極めながら、日本では今後3年で5〜6店舗ほどの直営店と、10前後の百貨店内コーナーに出店していきたい」と展望を語った。
デジタルプラットフォーム「myLOJEL」で
アフターサービスを充実
同社の強みは、丁寧なアフターサービスだ。顧客向けデジタルプラットフォーム「myLOJEL」では、製品固有のシリアルIDと購入時のレシートを登録することで、購入証明のデジタル管理から修理申請までを完全ペーパーレス化。10年間におよぶ長期保証を、世界中のどこからでも、たとえ旅行中であってもシームレスに提供できる体制を構築している。
PARCO_ya上野店を含む直営店では、対面での修理相談を受け付けているほか、配送による修理依頼も可能。セルフ修理用キットも用意し、顧客自身によるメンテナンスにも対応する。
アンチー社長は、「私たちは、単にスーツケースを売るのではなく、旅先での不安や不便を解消する“答え”として商品を設計している。当社の根底に流れる『直して、使い続ける』という哲学は私たちの誇りだ。壊れた箇所を簡単に取り替えられるモジュール設計を実現するため、かつては12あったコレクションを3つに絞り込み、パーツの標準化も進めてきた。こうした思いも日本のお客さまにあらためて伝えていきたい」と語った。
日本市場のニーズを反映した
ライフスタイルシリーズ“ニル”を強化
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主力の“キューボ”に加えて、日本の顧客に向けてはライフスタイルシリーズ“ニル(Niru)”にも力を入れる。同シリーズの開発にあたっては、商品チームが来日し市場調査を実施。通勤や都市間移動にも最適な長時間背負っても負担の少ないバックパックや日常使いできるトートバッグなどの開発につながった。スーツケースで培った機能美を、日常的なプロダクトにも落とし込みライフスタイルブランドとしての存在感を高めていく考えだ。