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アディダス、23年は30年ぶりに赤字転落 「イージー」事業の打ち切りが響く

アディダス(ADIDAS)の2023年12月通期決算は、売上高が前期比4.8%減の214億2700万ユーロ(約3兆4926億円)、営業利益は同59.9%減の2億6800万ユーロ(約436億円)、純損益は前年の6億3800万ユーロ(約1039億円)の黒字から1400万ユーロ(約22億円)の赤字となった。継続事業ベースでは、同じく2億5400万ユーロ(約414億円)の黒字から5800万ユーロ(約94億円)の赤字となっている。同社が赤字に転落したのは1992年以来初めて。

地域別の売上高では、「イージー(YEEZY)」事業の終了やマクロ経済の悪化による打撃を受けた北米が同18.5%減の52億1900万ユーロ(約8506億円)と非常に不調だった。EMEA(欧州・中東・アフリカ地域)は同3.7%減の82億3500万ユーロ(約1兆3423億円)、中国(大中華圏)は同0.3%増の31億9000万ユーロ(約5199億円)、中国を除くアジア太平洋地域は同0.6%増の22億5400万ユーロ(約3674億円)、南米は同8.9%増の22億9100万ユーロ(約3734億円)だった。

同社は22年10月、カニエ・ウェスト(Kanye West)ことイェ(Ye)の反ユダヤ主義的な発言を含むヘイトスピーチや相次ぐ問題行動を受けて関係を解消し、約7年半にわたって共に手掛けていた「イージー」事業も同時に終了した。これに伴って発生したおよそ12億ユーロ(約1956億円)相当の在庫の一部を23年5月から2回に分けて販売し、7億5000万ユーロ(約1222億円)の売り上げを獲得。そのうち1億4000万ユーロ(約228億円)をチャリティー団体などに寄付するという。残りの在庫は24年中に販売する予定で、2億5000万ユーロ(約407億円)程度の売り上げが見込まれている。

なお、24年2月にビョルン・グルデン(Bjorn Gulden)=アディダス最高経営責任者(CEO)とイェが2人でソファに座っている写真がSNS上で拡散された際には、再びタッグを組むのではないかとの臆測が広まったが、グルデンCEOは今回の決算説明会でこれを否定。米ラスベガスで開催されたスーパーボウルを観戦した帰りに、空港で偶然会っただけであることを説明した。

アディダスは今年、創業75周年を迎える。グルデンCEOは、23年は厳しい結果となったものの、コストや在庫の削減などによって当初の予想を上回ることができたと評価。また、24年1~3月期(第1四半期)は業績が上向いているとして、通期では現地通貨ベースで5~6%の成長を見込んでいると述べた。

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