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特集 ショッピングセンター 2026 第4回 / 全7回

ニュウマン高輪、ららぽーと TOKYO BAY、グランベリーパーク 有力デベロッパーが創る次世代SCのカタチ

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ECでは代替できない、リアルな商業施設の価値とは何か。地域の作り手を集め、100年先を見据える「ヴィソン(VISON)」。野菜から骨董、ヤギまでを擁する「産直市場グリーンファーム」。さらに、街そのものを編集する駅直結型施設「ニュウマン高輪」、アリーナと連動する「ららぽーと TOKYO BAY」、公園と一体化した「グランベリーパーク」といった異なる街で、それぞれの方法で滞在の理由をつくっている。売り場の効率や買い物の利便性だけでは測れない、偶然の発見と体験が人を呼び、施設の個性と継続的な成長につながっている。(この記事は「WWDJAPAN」2026年8月3&10日合併号からの抜粋です)

ニュウマン高輪

運営会社:ルミネ 所在地:東京都港区/JR高輪ゲートウェイ駅前・直結 延床面積:約6万㎡ 店舗数:約200店舗(ファッション、ライフスタイル、グルメ、サービス等) 開業:2026年3月(全面開業) 主なトピック:ルフトバウム(28・29階)に500本以上の植物を配した「都心の別荘」。カジュアル〜高級まで飲食11店舗、客席計1000席超。ラ・メゾン・デュ・ショコラの世界初カフェ併設型コンセプトショップ

100年先を見据え
ルミネらしさ、“非効率”で磨く

2026年3月の「ミムレ(MIMURE)」開業で、ニュウマン高輪は全面開業を迎えた。それから約4カ月。ルミネ史上最大となる延べ床面積約6万㎡、約200店舗の大型施設は、従来のルミネとは異なる歩みを見せる。ニュウマン高輪の鈴木和馬店長がまず口にするのは「滞在」という言葉だ。通常のルミネの入館ピークが夕方なのに対し、ニュウマン高輪は14時。子どもから高齢者まで客層は幅広く、休日は入館客数が駅の乗降客数を上回る日もあるという。「目的であると同時に、滞在の場。街の重要な機能を担う施設として、全く違う作り方をした」。オフィスやレジデンス、インターナショナルスクールはまだ稼働し切っておらず、周辺の人流が完成するのは来年以降。それでも「滞在性は、想定通りに作れている」と手応えを語る。

施設が掲げるのは「100年先のまだ見ぬ生活価値創造」という長期的な視座。抽象的なコンセプトを、鈴木店長は日々の運用に引き寄せて説明する。「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」や、アクアポニックスを用いたボタニカルラボの週次イベント、日本酒文化を更新する取り組みなど、商業施設の枠を超えた企画を重ねる。「街作りを掲げる以上、本質的な価値を積み重ねる。非効率でも、一歩ずつの積み重ねが100年先につながると考えている」。テナントである中川政七商店やバーミキュラ(VERMICULAR)と組んだ産地ツアーも予定するなど、テナントと一体となった価値づくりに取り組んでいる。

象徴的なのが「街ごと編集型」と呼ぶ手法だ。フロアごとにテナントを誘致する従来型ではなく、空間全体を一つのコンセプトで編集する。「ミムレ」には案内サインもフロアマップもなく、左官仕上げのタイルで空間を作り込んだ。「分かりやすさとは別のロジック。価値観の転換で、来街者にも目新しい」。物販と無関係な滞在空間を大きく取る設計は坪効率で考えれば非効率だが、鈴木店長は「本当の意味での商業施設ではない。壮大な実験場だ」と位置づけ、夏以降はイベントとの連動で空間をさらに接続させる考えを示す。

この手法を新宿や池袋の既存館へ流用できるかを問うと、鈴木店長は「一番は人と経験。そもそもルミネの強みは、感覚を重視したMD。ここで新たな角度から商業デベロッパーとしての強みを磨く。そういった意味でルミネ全体への波及効果も大きい」。

ららぽーとTOKYO-BAY

運営会社:三井不動産商業マネジメント 所在地:千葉県船橋市/JR南船橋駅から徒歩5分 京成本線船橋競馬場駅から徒歩5分 延床面積:約43万2000㎡ 店舗数:約390店舗(2026年7月現在) 開業:1981年4月 主なトピック:北館を2期に分けて建て替え中。第1期では「RHC ロンハーマン(RHC RON HERMAN)」など感度の高いテナントや日本最大級のフードゾーンを導入した。第2期では、建物を従来の2層から3層に拡張し、屋内型スタジアムコートや屋外に人工芝を整備する予定

アリーナ効果で売上15%増
SCとエンタメの新モデル

三井不動産は、商業施設とスポーツ・エンターテインメントの融合を進めている。ららぽーとの堺や安城、福岡で取り組み、名古屋でも多目的アリーナを建設中だ。その代表例が、ららぽーとTOKYO-BAY。隣接する「ららアリーナ TOKYO-BAY」は24年に開業。約1万人を収容し、プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」の本拠地として、年間約30試合のホーム戦を開催する。音楽ライブなどにも利用され、土日はほぼ100%の稼働率だ。イベント開催日には来場者の3〜4割がららぽーとに立ち寄り、館全体の売上高を通常時に比べて約15%押し上げる。商業施設・スポーツ・エンターテイメント本部運営企画グループの吉田翠・主事は、「アリーナに来たら、前後でららぽーとに寄ろうという行動が定着しつつある。コンサート開催日は遠方から訪れる方が多く、飲食を中心に売り上げが伸びる。ファミリーに加え、Z世代やアルファ世代、単独で来館する30〜40代男性との接点も増えた」と話す。昨年10月に両施設をつなぐブリッジを開通したことも、回遊を後押しした。

アリーナ来場者との接点をつくる施策として、アーティストや選手のビジュアル、BGMでフードコートを演出したり、応援メッセージを募り出演者や選手に届けたりして、滞在する高揚感を高める。また館内ではツアーグッズや千葉ジェッツの商品を販売し、テナントには推しカラーの商品やコラボメニューの展開を呼び掛ける。店舗が自発的に“推し活”需要へ対応する例も増えているという。「興行主はファンとのエンゲージメントを高められ、ファンはアーティストや選手を身近に感じられる。商業施設にとっても体験価値の提供になる。三者にとって魅力的な施策に育てたい」。

さらに、「地域密着で展開してきた中で、Z世代や若い世代をどう取り込み、成長し続けるかを考えた。推し活やコト消費への注目が高まる中、スポーツやエンターテインメントの熱量を組み合わせることで、既存施設をさらにバージョンアップできるのではないか」と期待する。一方、体験型コンテンツや飲食の比重が高まっても、ファッションを後退させる考えはない。「コロナ禍を経ても、店舗で見て買いたいというお客さまは着実にいる。テナントと協業し、リアル店舗ならではの価値を高めたい」と話す。

南町田グランベリーパーク

運営会社:東急モールズデベロップメント 所在地:東急田園都市線 南町田グランベリーパーク駅 直結 開業:2019年11月(全面リニューアル) 業態:都内最大級のオープンモール型アウトレット複合商業施設 売上高:414億円 来館者数:1269万人 出店者数:約220店舗 敷地面積:約8万3000㎡ 延床面積:約15万1000㎡ 店舗面積:約5万3000㎡

公園一体の商業施設
6年連続で売上高記録更新

東急モールズデベロップメント(TMD)が運営する南町田グランベリーパーク(東京都町田市)が好調を維持している。2025年度の全館売上高は前年比6.1%増の414億、来館者数は同4.0%増の1269万人で、19年の開業以来6年連続で過去最高を更新した。

同施設は都内最大級のオープンモール型アウトレット複合商業施設として開業した。池田健介総支配人が成功要因として挙げるのは、単なる消費の場にとどまらない「まちづくり」の発想だ。隣接する鶴間公園と一体で整備され、24時間通行できる自由通路が敷地を貫く。「目的がなくても人が来て、必然的に公園と施設を回遊してくれる」と池田総支配人。スヌーピーミュージアムや映画館、アウトレット、食物販が集積し、ペットの散歩ついでに立ち寄る来館者も多いという。商圏は半径20km圏で、週末と平日の来館者数は倍以上開く。

特色は、運営会社と町田市の共同事業という成り立ちにある。公園のイベントを行政と共催し、地元情報を扱う冊子「ベリー」を年1回発行、月1回のタウンミーティングも3年目に入った。「地元企業を推していきたい」として、近隣の店舗を誘致する動きもある。住民参加型のイベントも柱で、環境をテーマにした「グリーングッドマーケット」は毎年約5万人を集める。9月の防災イベントでは警察や消防と連携し、帰宅困難を想定した宿泊訓練も行う。池田総支配人は一連の取り組みを「小さく生んで大きく育てる」と表現する。

サッカーJ1・FC町田ゼルビアとの連携も進める。テナント従業員にチケットを配布するなど、地元の愛着を集客につなげる。「いいコンテンツ」と手応えを語る一方、現状インバウンド比率は1.5%程度にとどまり、電車での広域集客をどう伸ばすかは今後の課題に挙げた。

AIやECとの競合をどう見るか。池田総支配人は「戦うという意識はまったくない」と言い切る。「体験型の施設として、公園やスヌーピー、回遊で時間消費と場を提供する。いろいろな発見を仕掛けている」。実際、テナント側でもペットコミュニティーへの参加が増え、知らない客同士がつながる場面も生まれているという。買い物だけでない滞在の価値を、施設全体で設計している。「街としての機能がショッピングセンターとしての新たな魅力になることを感じている」。

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