
人間なら誰しも、記憶に残り続ける場所があるだろう。父や母に手を引かれてよく訪れたケーキ屋かもしれないし、友達と連れ立って遊びに行った駅前のゲームセンターかもしれない。こちらのカバーストーリーでも触れたが、表紙を撮影した写真家の小野啓は、全国の高校生を撮り続ける中で、ある時から指定される撮影場所にショッピングモールが増えたことに気づき、モールの撮影を始めた。まさに慧眼だ。多感な高校生が、自宅でもない、学校でもない「サードプレイス」として想起する場所。それは、数字やデータには出てこないかもしれないが大きな価値がある。その時期の「サードプレイス」は、長い一生で最も忘れがたい場所になるに違いないからだ。(この記事は「WWDJAPAN」2026年8月3&10日合併号からの抜粋です)
選ばれるSCの条件とは?
もっとも、業界の足元は逆説的な局面にある。日本ショッピングセンター協会によれば、2025年のSC総売上高は33兆1238億円(前年比2.7%増)で、1975年の統計開始以来最高を記録した。一方、新規開業は建築コスト高騰の影響で18SCにとどまり、こちらは統計開始以来の最少。全国の総SC数も3013で減少が続く。開業する館は減り、売り上げは増える。しかも25年に開業したSCは、1施設あたりの平均店舗面積もテナント数も前年から大幅に増えた。量的拡大から質的向上へ。淘汰と大型化が同時に進む中で、選ばれる館と消える館を分ける基準はどこにあるのか。
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