ビジネス
連載 齊藤孝浩の業界のミカタ 第76回

エルメスが営業利益率40%を維持できる理由とは? 驚異の販売効率と生産性

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企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はエルメスの決算書から、その強さの源泉を探る。

初めてエルメス・インターナショナル(以下、エルメス)の決算書を読みました。率直な感想は、「立派過ぎて、ツッコミどころがない」です(笑)。連載第35回第47回でLVMHの決算書を読み、LVMHも素晴らしい会社だと思いましたが、エルメスの方が堅いというか、ビジョンが明確で、「守るべきものを守る会社」という印象を強く受けました。

エルメスは「ジョンロブ(JOHN LOBB)」や「サンルイ(SAINT LOUIS)」などいくつか小規模な企業を傘下に持っていますが、基本的に「エルメス(HERMES)」ブランドが売上高のほとんどを占めています。2024年12月期の売上高は約2兆5000億円、営業利益は約1兆円(ユーロ=164.9円で換算)、営業利益率は40.5%です。直近10年の売上高と営業利益の推移を見てみると、かつては営業利益率30%台をキープしていて、22年度からは40%超。すごい収益性ですね。コロナの時は当然1回へこんでいますが、それ以後は右肩上がりで、この10年の年平均成長率は13.9%です。

10年前対比で売り上げは3.6倍になり、営業利益は4.6倍に。年を追って収益性が高まっています。しかも、買収などをせずに2ケタ成長を続けていて、驚く一方で、無理をしている感じはしません。

エルメスの売上高と営業利益率の推移

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