
米「WWD」が発行する「BEAUTY INC」は毎年、グローバル化粧品企業の公開情報を基に、トップ100社の売上高ランキングを発表している。「WWDJAPAN」2025年7月28日号付録「WWDBEAUTY」では、2024年版のランキングと各企業の動向をまとめた。ここでは上位10社を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月28日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
1位(→1位)
ロレアル(L'OREAL)
クリシー(フランス)
売上高 434億8000万ユーロ
(約7兆1307億円)
前期比 +5.6%
ブランドリスト(子会社および主要ブランド)
コンシューマー・プロダクツ事業本部:ロレアル パリ、ガルニエ、メイベリン ニューヨーク、ニックスプロフェッショナル メイクアップ、3CE/リュクス事業本部:ランコム、イヴ・サンローラン、アルマーニ ビューティ、キールズ、ヘレナ ルビンスタイン、ビオテルム、シュウ ウエムラ、ラルフ ローレン、ヴァレンティノ ビューティ、メゾン マルジェラ、タカミ、プラダ ビューティ、イソップ、ミュウミュウ/プロフェッショナル プロダクツ事業本部:ロレアル プロフェッショナル、ケラスターゼ/ダーマトロジカル ビューティ事業本部:ラ ロッシュ ポゼ、ヴィシー、スキンシューティカルズ、セラヴィなど
前半は好調も後半は失速
営業利益率は過去最高を記録
ビューティ業界最大手のロレアルは、引き続き市場全体を上回るパフォーマンスを維持したが、化粧品市場が直面する向かい風からは逃れられなかった。同社は2024年を「2つの顔を持つ年」と表現し、好調だった前半6カ月間から一変、後半は世界的な景気減速と中国で継続する課題により失速した。一部のアナリストは24年通期の売上高を「予想を下まわり期待外れ」としたが、過去最高の粗利益率および営業利益率を記録した。
事業部別では、コンシューマー・プロダクツ事業本部はマス市場の浸透とプレミアム化の機会を捉え、生産量や価格、製品構成のバランスを調整し成長を達成。「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」は「極めて好調な一年」だった。欧州やメキシコ、ブラジル、インド、タイなど新興市場の好調が、米国と中国における低調な業績を相殺した。リュクス事業本部は「イソップ(AESOP)」およびフレグランスの成長により、北アジアを除いた売り上げは前期比10%増だった。特に北米が好調で、初めて高級化粧品市場のシェア1位を獲得した。低迷する中国市場でも、ラグジュアリービューティのリーダーとしての地位を維持。オン・オフライン共に市場を上回る成長を遂げた。香水では、「プラダ ビューティ(PRADA BEAUTY)」「ヴァレンティノ ビューティ(VALENTINO BEAUTY)」「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「アルマーニ ビューティ(ARMANI BEAUTY)」など、メイクアップは「イヴ・サンローラン」が好調だった。スキンケアは「イソップ」「タカミ(TAKAMI)」やLA発「ユース トゥ ザ ピープル(YOUTH TO THE PEOPLE)」がグローバル展開を拡大し有望な結果を残した。ダーマトロジカル ビューティ事業本部は全社の中で最も成長した。中でも新興市場での成果が顕著だった。ブランド別では「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」がけん引し、全チャネルで世界第3位のスキンケアブランドへ浮上した。プロフェッショナル プロダクツ事業本部は、ECの好調とプレミアムヘアケアカテゴリーの成長により、既存・新興市場の双方で成長を遂げた。「ケラスターゼ(KERASTASE)」は2ケタ成長を記録し、同事業部最大のブランドとなった。
ニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)は24年を「ロレアルにとって決定的な年」として、AIや新技術を活用したマーケティング・研究開発への投資を通じて、将来を見据えた事業強化を進めた。また、中国・蘇州に新たな物流拠点を設立し、現地生産体制の構築も進めた。引き続きポートフォリオの強化のため、「ミュウミュウ(MIU MIU)」のビューティライセンス契約を締結したほか、韓国のスキンケアブランド「ドクタージー(DR.G)」を買収。また、15年から協業する節水技術のパイオニア企業、ギオサ(GJOSA)の過半数株式を取得した。成長分野や新市場の開拓のため少数投資も進めた。ダーマコスメブランドのリーダーであり、24年3月に上場した製薬大手ガルデルマ(GALDERMA)の株式10%を取得。さらに中国の美容皮膚科チェーン「イエススキン」、マスマーケットビューティ企業チャンドゥグループ(自然堂集団)に出資。25年2月にはオマーンを拠点とするフレグランスブランド「アムアージュ(AMOUAGE)」の少数株式を取得した。3月にはファッションメゾン「ジャックムス(JACQUEMUS)」とビューティライセンス契約を締結。投資部門のボールドを通じて、韓国フレグランスブランド「ボーン トゥ スタンドアウト(BORNTOSTANDOUT)」にも出資した。
2位(→2位)
ユニリーバ(UNILEVER)
ロンドン(イギリス)
売上高 246億1000万ユーロ
(約4兆360億円)
前期比 +1.8%(推定)
ブランドリスト
サンシルク、クリア、ダヴ、ダヴメン+ケア、ライフブイ、ラックス、ネクサス、ポンズ、ヴァセリン/プレステージ:ダーマロジカ、アワーグラス、K18、タッチャ、ポーラチョイスなど
新CEOの下、構造改革を推進
プレステージの売上比率は30%に
ユニリーバは2024年、組織のスリム化と事業の効率化に注力した。23年7月に就任したハイン・シューマッハ(Hein Schumacher)CEOの下で10月に大規模な事業再編を実施。イノベーションおよび選択と集中、全売り上げの75%を占める主力ブランドへのリソース最適化を進めた。また、アイスクリーム部門の分離と7500人のオフィス職削減も発表した。これにより、今後3年間で約8億ユーロ(約1312億円)のコスト削減を見込む。25年3月にシューマッハCEOが退任。戦略が評価され始めていただけに、業界に衝撃を与えた。後任は、かつてビューティ&ウェルビーイング部門を率いたフェルナンド・フェルナンデス(Fernando Fernandez)=最高財務責任者(CFO)が就任した。
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