PROFILE: 阪本優子/「アットコスメオーサカ」ショップマスター

JR大阪駅直結の商業施設ルクア イーレの一角で存在感を放つ「アットコスメオーサカ」は、2023年9月のオープン以来、常に多くの人でにぎわっている。常時30〜40人規模のスタッフをまとめるのが、ショップマスター(店長)の阪本優子さんだ。子育てをしながら現場に立ち続けている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月22日号からの抜粋です)
NO.1 POINT
心地よい距離感でリピートにつなげる
「お客さまには来たときより“絶対”に
きれいになって帰っていただきたい」
昼と夕方のピーク時にはフロアに立つことが多く、その合間にオペレーション管理などの雑務をこなしている。広い店舗に加え、常に盛況な店内ではスタッフとゆっくり話すことが難しいが、1日に1回は必ず全員と会話することを心がけているという。店長は2人体制で、もう1人の店長とは毎日オンライン上で“備忘録”を共有。顧客対応やスタッフの様子などを細かく報告し合い、連携を強めている。
美容部員歴は前職含め11年。転機は、アルビオングループのブランドをそろえたイン ハーモニー バイ アットコスメストア 京都ザ・キューブ店(閉店)の勤務時代に訪れた。舞妓客の私服を化粧品で汚してしまい、強く叱責された経験がある。「お客さまに怒られたことがあるのはこの一度だけ。“細心の注意を払うこと、満足度を高めていくこと”が自分の中でスイッチとして入りました」。以後、接客力を徹底的に磨き、当時アルビオンで全国数百人がエントリーしたコンテストで1位を獲得。「接客で形を残したい」という思いが結実した。
接客のこだわりは「心地良い距離感」だ。「幅広い客層だからこそ、距離を詰めすぎず、かといって遠すぎず。礼儀正しい接客がリピートにつながるんです」。若年層に対してもくだけた言葉は控え、全国各地から客が訪れる店舗ゆえ、“大阪らしい”フレンドリーさもあえて抑えているという。
また、「言葉にしきれない悩みを一緒にひもとく」接客を得意とする。来店客の中には「肌の不調はあるが原因が分からない」といった漠然とした相談も多い。そうした場合には、肌測定で状態を説明した上で、生活習慣や普段使用しているアイテムを丁寧にヒアリング。その中から適した商品を提案している。さらに、商品紹介の際は「お客さまが気になっているアイテム以外に、必ず新しい提案を一つ加えることを意識しています」。
1日約1万人が訪れる店舗では、一人に割ける接客時間は15分程度。その限られた時間の中で、必ず商品を試してもらい、効果を実感してもらえるよう心がけている。得意のスピードメイクを駆使し、目から下の半顔だけをクレンジングからメイクまで仕上げる実演は圧巻だ。「手は止めず、会話は丁寧に」。そのスタイルは新人教育の土台にもなっている。
阪本さんのモットーは明快だ。「お客さまには、来たときより“絶対”にきれいになって帰っていただきたい」。ECとも百貨店とも違う「圧倒的な高揚感」を店舗で提供する。そのために、できる限りの実体験の場を用意する。「昔からおしゃべりも化粧品も大好きなんです。だから可能な限り多くの人に囲まれて、忙しい店で働きたいんです」。笑顔でそう言い切る姿に、顧客を引きつける理由が凝縮されている。