毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月23日号からの抜粋です)
横山:今号は地方セレクト特集第3弾です。僕は今回、香川県高松市に初めて上陸しました。4件取材しましたが、一番面白かったのは市街地から車30分くらいの庵治(あじ)地区に本社を構える繊維商社の中商事が運営する「アジサーキュラーパーク(AJI CIRCULAR PARK)」。3代目の中貴史社長が本社オフィス兼工場にショップも作って、土日のみ営業しています。古着や卸用に作ったアパレルで余ったもの、布のはぎれなどを販売するほか、置いてある古着と自分が持ち込んだ古着を参加費500円で交換できるコーナーもあって、すごく先鋭的な循環型セレクトショップでした。
益成:イサム・ノグチの庭園があるエリアですよね?行ってみたいです。
横山:石の加工が得意な地域なんですよね。ショップにも、スツールとして使えるオシャレな石が置いてあって、地産地消アプローチも感じました。
作り手と買い手を
つなぐ大切な存在
益成:地方ならではの取り組みですね。サステナ文脈も今っぽい。古着と新品を一緒に売る店も増えていますよね。私は盛岡の「生活芸術」に感動しました。某ショールームの営業が勧めてくれたのですが、南部鉄器のアトリエ跡地を改装した畳の部屋があるショップで「キャロル クリスチャン ポエル(CAROL CHRISTIAN POELL)」や「ブレス(BLESS)」「ウォルター ヴァン べイレンドンク(WALTER VAN BEIRENDONCK)」などを扱っています。一点もの、レアものが多く、そこにしかないものを買いに業界の人も来るそうです。作り手と買い手の顔が見えるビジネスをしていて、「ブレス」は壁紙などのインテリアアイテムも扱っています。オーナーの小野公洋・牧子夫妻は「盛岡で農家みたいにひっそりと店を運営している」と語っていましたが、作り手と買い手へのリスペクトがあって、ファッションへの愛に溢れていました。「今のファッション業界にはこういう人たちが必要!」と心から思いました。
横山:分かります。洋服を売買するって、ファッションにおける一番濃いコミュニケーションですよね。僕らはメディアとして情報を伝えますが、セレクトのオーナーはエヴァンジェリストとして、生の情報を伝えながらブランドと顧客の接点を支えています。地方のセレクトショップを取材すると、毎回「この人たちがいるからファッション業界が成り立っている」と実感します。
益成:メンテナンスや修理を請け負えるのも作り手との密な関係があるから。「好き」という気持ちが原動力ですね。