埼玉・飯能の湖畔に、“KAWAII”の聖地が出現する。ニューヨーク在住のアーティスト増田セバスチャンは、北欧ライフスタイル体験施設「メッツァビレッジ」内の現代美術館、「ハイパーミュージアム飯能(HYPER MUSEUM HANNO)」で、大規模個展「KAWAIITOPIA -GO TO HEAVEN(HELL)-」を3月14日から8月30日まで開催する。増田にとっては5年ぶりの大型展であり、原宿の拠点「6%DOKIDOKI(ロクパーセントドキドキ)」開設30周年という節目とも重なる特別な機会となる。
同展は、日本発のポップカルチャー“KAWAII”を牽引してきた増田の思想と実践を、没入型インスタレーションとして体感させるもの。タイトルの「KAWAIITOPIA」は“KAWAII”と“UTOPIA”を掛け合わせた造語で、混沌とした時代を生き抜くための精神的ヴィジョンを提示する。増田は「KAWAIIは、誰にも邪魔されない自分だけの小さな宇宙。100人いれば100通りのKAWAIIがある」と語り、それぞれの価値観を認め合うことこそが平和へのアクションだと位置付ける。
会場の象徴となるのが、宮沢湖に浮かぶ巨大作品「KAWAII-CORE ISLAND」だ。高さ6メートル、幅7.5メートルの“棘で守られたハート”が鎮座するピンクの島は、まさにKAWAIIの聖地。内部に入ることも可能で、鑑賞者はアーティストからの問いを受け取る。上陸には当日販売のボートチケットが必要となる。
館内エントランスには、約6メートルのタワー作品「Polychromatic Skin -Gender Tower-」が出現。「私たちの皮膚の下にはカラフルな血が巡っている」というメッセージのもと、人種や宗教、ジェンダーといった境界を越える想像力を象徴する。
展示は、増田自身の記憶をたどる7つのエリアで構成される。「Sweets Hell」「Plushie Hell」「White Hell」など、天国と地獄を往還する物語的構成が特徴だ。生まれつき難聴だった幼少期の体験を反映したエントランス作品「Express Yourself」では、世界各国のKawaiiコミュニティから集めた“目”の映像が来場者を見つめ返す。視覚を通じて世界を捉えてきた増田の原体験が、強烈な色彩とマテリアルの集積として立ち上がる。

代表作「Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-」の特別バージョンも公開。欲望、未来、妄想、運命、傷、現実、そして“自分自身”をテーマにした部屋型作品は、12年の時を経てアップデートされる。
会場内の無料エリアにはポップアップストア「THE KAWAII WORLD SHOP」もオープン。限定・先行グッズの販売に加え、作品と撮影できるブースも設置し、アートと消費、体験を横断する増田らしい世界観を提示する。
フィンランド語で森を意味するメッツァ社が運営する同館は、「自然とデジタル」「キャラクターアート」を軸に、北欧的ライフスタイルと現代アートを融合させる新世代の美術館。森と湖に囲まれたロケーションを生かした屋外インスタレーションも特徴で、アートを通じた文化都市構想を掲げる。
増田は、震災やパンデミックを経た現実世界において、「それでも僕たちは確信している。その先にあるユートピアを」とステートメントで記す。HEAVENかHELLか――その二項対立を超え、KAWAIIという方法論で未来を再構築する試みを、飯能の湖畔から発信する。
■増田セバスチャン「KAWAIITOPIA -GO TO HEAVEN(HELL)-」
日程:3月14日〜8月30日
時間:10:00〜17:00
場所:ハイパーミュージアム飯能
住所:〒357-0001 埼玉県飯能市宮沢327−6 メッツァビレッジ
入場料:(前売)おとな 1000 円、こども(4 歳〜高校生)500円 (当日) おとな1200円、こども(4歳〜高校生)700円