正月に見たNHKの動物番組「ダーウィンが来た!」で、今年の干支である馬を特集していました。古代から移動、運送、農耕、軍事、スポーツなどで人間と関わりが深い馬。番組では「ウマの相棒力」と題し、なぜ人間と相性が良いのかを多角的に紹介していました。
人間と馬との関係は特別です。犬や猫のような愛玩動物ではない。食を目的とした牛や豚といった家畜とも異なる。まさに人間の相棒として愛されてきました。
馬はファッションブランドともゆかりが深い。
代表的なのはフランスの「エルメス(HERMES)」。ご存知の通りパリで馬具工房として創業しました。鞍(くら)をはじめとした馬具は今なおブランドのアイデンティティーであり、本店の中にある工房で製作されています。シンボルマークも馬車。銀座の旗艦店メゾンエルメスの建物の上には、白馬に跨った騎士の像があります。
英国の「バーバリー(BURBERRY)」(騎士)、フランスの「ロンシャン(LONGCHAMP)」(騎手)、米国の「コーチ(COACH)」(馬車)も馬をシンボルマークに採用しています。中でも多くの人が真っ先の思い浮かべるのは、米国の「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」(ポロ競技)かもしれません。世の中でも最も知られた馬のマークと言えます。
馬の疾走感、力強さ(馬力)、優雅さは、自動車にも重ねられてきました。イタリアのフェラーリ (FERRARI)、ドイツのポルシェ(PORSCHE)もエンブレムは跳ね馬です。移動手段としての馬は20世紀に自動車に置き換えられました。
こうして列挙すると、ファッションも自動車も高級ブランドが多いことに気づきます。欧州では昔から馬はステータスシンボルで、王室や貴族などの上流階級と結びつく。「ラルフローレン」のポロも英国の上流階級のスポーツ。ラグジュアリーブランドとの親和性も納得です。
違った流れにあるのが、米国の「リーバイス(LEVI'S)」です。有名なツーホース・マークは、2頭の馬がジーンズを引っ張っても破けない様子を描いた品質保証書。「リーバイス」のジーンズは19世紀末、カルフォルニアのゴールドラッシュの労働者の作業着として発明されたわけですが、牧畜業に従事する労働者にも瞬く間に浸透しました。ジーンズ、ブーツ、ハットなど馬を相棒にするカウボーイの服飾文化が生まれます。
欧州や米国東部の上流社会の洗練された馬の文化、米国西部の労働者の暮らしから生まれた馬の文化。馬を通じた服飾史はなかなか興味深いテーマです。
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