エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2025年12月期決算は、売上高が前期比5.5%増の160億200万ユーロ(約2兆9603億円)、営業利益は同6.8%増の65億6900万ユーロ(約1兆2152億円)、純利益は同1.7%減の45億2400万ユーロ(約8369億円)だった。
地域別の売上高は、フランスが同8.8%増の15億7500万ユーロ(約2913億円)、フランス以外の欧州は同10.0%増の23億6200万ユーロ(約4369億円)だった。いずれも引き続き地元の顧客および観光客による需要が好調だった。北米、南米ともに堅調だった南北アメリカは同7.3%増の30億7500万ユーロ(約5688億円)、景気停滞が続く中国を抱える日本以外のアジア太平洋地域は同0.8%増の67億200万ユーロ(約1兆2398億円)で着地。忠誠心の高い地元顧客が多い日本は、同10.7%増の15億1900万ユーロ(約2810億円)と2ケタ増収を維持した。
カテゴリー別での売上高は、主力のレザーグッズが同9.5%増の70億7000万ユーロ(約1兆3079億円)、衣料・アクセサリーは同2.7%増の45億2500万ユーロ(約8371億円)、シルク・テキスタイルは同1.5%増の9億6400万ユーロ(約1783億円)と増収。ほかのカテゴリーと比べて卸先への依存度が高い香水・ビューティは同8.6%減の4億8900万ユーロ(約904億円)、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による関税政策の影響を受けたウオッチは同4.9%減の5億4900万ユーロ(約1015億円)と減収だった。
「26年も自信を持って進んでいく」とCEO
アクセル・デュマ(Axel Dumas)=エグゼクティブ・チェアマンは、アナリスト向けの決算説明会で、「質が高くエクスクルーシブな販売網と、垂直統合された堅牢な生産体制に基づいた事業戦略“エルメスモデル”が成功の秘訣であることが今回も証明された。この独特の戦略により、安定した成長と力強い業績を上げることができてうれしく思う。妥協のない品質の追求にコミットしているチームと、忠誠心の高い顧客に心から感謝する。不安定な環境の中、26年もクリエイティビティーとサヴォアフェール(受け継がれる匠の技)に裏打ちされた、確固たる自信を持って進んでいく」と語った。
同氏はまた、中国市場のラグジュアリー消費動向はマクロ経済とはあまり関連性がないと指摘。「『エルメス』のコア顧客(である富裕層)の消費意欲は、国内総生産(GDP)よりも不動産市場や株式市場の上下に左右されているように思う」と述べた。また中間層の“ラグジュアリー離れ”について「確かにフランスではその傾向があるが、世界中でそうだというわけではない」と分析し、米国市場の回復や、南アジアおよび南米における中間層の可処分所得の成長を前向きに捉えていると話した。
1月に5~6%の値上げを実施
なお、「エルメス」は1月に5~6%の値上げを実施している。これについてエリック・デュ・アルグエ(Eric du Halgouet)最高財務責任者は、「原材料の値上がりなど、生産コストの上昇をカバーするために行った」と説明した。
競合LVMHの25年度は減収減益
ラグジュアリーセクターは24年から全体に減速しており、25年はその傾向がさらに強まった。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」など多数の高級ブランドを擁し、“ラグジュアリー帝国”とも称されるLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)においても、25年12月期決算は売上高が同4.6%減の808億700万ユーロ(約14兆9492億円)、純利益は同13.3%減の108億7800万ユーロ(約2兆124億円)と減収減益。
主力「グッチ(GUCCI)」の不調が続くケリング(KERING)は、売上高が同13.0%減の146億7500万ユーロ(約2兆7148億円)、純利益は同93.6%減の7200万ユーロ(約133億円)と減収に加えて大幅な減益となった。
これまで破竹の勢いで成長してきたエルメスもやはり減速傾向にあるものの、こうした競合と比べると、増収を維持している同社の強さは注目に値するだろう。