
2026年春夏オートクチュール・ファッション・ウイークは、やはり2人の新デザイナー、「ディオール(DIOR)」のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)と、「シャネル(CHANEL)」のマチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)によるクチュールデビューに注目が集まった。ジョナサンは「着るだけではなく、飾ることがあってもいい」とクチュールをアートやクラフトのように捉え、創業デザイナーが生み出した名シルエットと自身が興味を持つ作家のアート作品を着想源に、「ディオール」らしく花々が咲き乱れるコレクションを発表。対するマチュー・ブレイジーは、あくまで「着るクチュール」を貫き、「素材の魔術師」らしくツイードジャケットは捉え方さえ見直し、究極の軽さを追求した。2人のスタンスは対照的だが、既成概念を超越する点は共通している。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月9日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
ジョナサンがオートクチュールの新たな可能性を追求する姿勢からは、自身が「ディオール」というメゾンのみならず、オートクチュールという伝統や、パリのファッションという文化や産業自体の継承という役割さえ担い、既成概念を超越しなければ生き残れないという覚悟がにじむ。
例えば、ムッシュ ディオールのシルエット、自身も収集しているというマグダレン・オドゥンド(Magdalene Odundo、ケニア生まれの陶芸家)の作品同様にインスピレーションを得たのは、「私が若かりしころのヒーロー。彼ほど夢を語れる人はいない」と尊敬する、かつてのクリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノ(John Galliano)だ。薬物中毒や人種差別的な発言で2011年にメゾンを追われて以来、彼が直接「ディオール」の世界に足を踏み入れたのは今回が初めて。ジョナサンはかつてガリアーノから贈られたという黒いリボンを結んだシクラメンの花束にもインスパイアされて、さまざまな素材で花弁を作り、ドレスやバッグ、シューズにのせつつ、ピンクの世界を黒で引き締めた。
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