
くしくもこの半年は、オートクチュールの世界でも圧倒的な存在感を放った偉大なるデザイナー2人が相次いでこの世を去った。「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVE)」のジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)と、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)だ。それぞれ姪のシルヴァーナ・アルマーニ(Silvana Armani)とアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が歴史の継承役を担った2つのブランドは、片方が過半数がパンツルックだったのに対して、もう一方は非日常的な祝祭の儀式的な服装を思わせ、方向性の違いが顕著に。ほかにも空を飛んだり、陶器をつなぎ合わせたり、自由な発想のクリエイションが光った。クチュールの世界を取り巻くニュースと共にダイジェストで紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月9日号からの抜粋です)
「ヴァレンティノ(VALENTINO)」
あえての非日常着を凝視
祭礼服で崇拝の対象を描く
会場には、19世紀末から20世紀初頭にかけて流行した円形の大型立体視鑑賞装置の「カイザーパノラマ」を並べた。ゲストはショーが始まると、小さな小窓をのぞき、円柱の中に現れるモデル眺める。アレッサンドロ・ミケーレは、「現代は視線とメディアへの過剰露出、急速な消費行動に支配されている。だからこそオートクチュールは、ゆったりとした時間や近さ、集中といった異なる時間の感覚によって区切りたい」という。
モデルは、過去の祝祭に登場するかのような儀式的な服装。あえてリアリティーとは距離を置き、崇拝の対象にさえなるような衣装をまとわせることで生地や洋服、肉体の神秘性を描こうというのがミケーレの思いだ。
ファッションウイーク直前には
偉大なるクチュリエ、ヴァレンティノの葬儀
イタリア・ローマではオートクチュール・ファッション・ウイーク直前の1月23日、93歳で亡くなったヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏の葬儀が行われた。会場は、16世紀に建てられた聖マリア天使殉教者大聖堂。イタリアの国葬や公式儀式が行われる場所だ。2日間にわたる通夜の後、数百人の参列者はイタリア警察の警備の下、ローマ中心部の共和国広場に集まり、偉大なるクチュリエに弔意を表した。ガラヴァーニ氏の笑顔の白黒写真は白い花に囲まれて祭壇に、一方彼を象徴する赤いアクセサリーを身につける参列者の姿もあった。
ガラヴァーニ氏の長年のパートナーであるジャンカルロ・ジャンメッティ(Giancarlo Giammetti)は「世界中からヴァレンティノに会うために飛行機で来てくれた全ての友人たちに感謝したい。彼もきっと喜んでいるだろう」と英語で語りかけた。その後はイタリア語で、「彼を通して、私は美の意味を知った。それは、私たちが生涯を通して寄り添ってきた美だ。私たちは子どものころに出会い、共に同じ夢を描き、その夢のいくつかを叶えた。私たちの歩みは永遠に続く。ヴァレンティノ、あなたはいつも私と共にいる。私は、私自身と財団を通して、あなたの記憶を永遠にとどめるために全力を尽くす。財団は、あなたが誰であり、誰であったかを忘れず、常に私たちと共にある」と続けた。
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