LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2025年12月期決算は、売上高が前期比4.6%減の808億700万ユーロ(約14兆7876億円)、営業利益は同9.6%減の170億9900万ユーロ(約3兆1291億円)、純利益は同13.3%減の108億7800万ユーロ(約1兆9906億円)の減収減益だった。
「ロロ・ピアーナ」の持分を引き上げ
部門別での売上高は、主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同8.0%減の377億7000万ユーロ(約6兆9119億円)と減収。スターブランドの「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「ディオール(DIOR)」は引き続き地元客の需要が堅調だったものの、全体としてマクロ経済の悪化や地政学上の先行き不透明感が響いた。LVMHはブランド別での売り上げを開示していないが、前述の2ブランドに続いて部門内で3番目の規模になったと見られる「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」が好調だったという。なお、同社はアナリスト向けの決算説明会で、25年に同ブランドの持分を85%から94%に引き上げたことを発表。追加の9%相当の株式を、創業家から10億ユーロ(約1830億円)で取得したことを明らかにした。
「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「ブルガリ(BVLGARI)」「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」などを擁するウオッチ&ジュエリー部門は同0.9%減の104億8600万ユーロ(約1兆9189億円)、香水&コスメティクス部門は同2.9%減の81億7400万ユーロ(約1兆4958億円)。ワイン&スピリッツ部門は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による関税政策が主要市場である中国と米国にマイナスの影響をもたらし、同8.6%減の53億5800万ユーロ(約9805億円)だった。免税店のDFSなどを運営するセレクティブ・リテール部門は、化粧品のセレクトショップ、セフォラ(SEPHORA)が貢献し、同0.5%増の183億4800万ユーロ(約3兆3576億円)と微増で着地した。
地域別での売上高は、フランスが同4.0%減の67億3200万ユーロ(約1兆2319億円)、フランスを除く欧州は同0.1%減の145億3000万ユーロ(約2兆6589億円)だった。下半期(7~12月期)に回復の兆しが見えた米国は同4.0%減の206億8600万ユーロ(約3兆7855億円)、日本を除くアジア太平洋地域は同8.0%減の213億8900万ユーロ(約3兆9141億円)だった。一方、インバウンド需要が落ち込みつつある日本は大幅に減速し、同14.7%減の63億7800万ユーロ(約1兆1671億円)と2桁減となった。
ジョナサンによる「ディオール」のクチュール・コレクションを絶賛
ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)は、グループの売上高がここ10年で倍以上に成長していることに触れつつ、「経済的および地政学的に非常に不安定かつ難しい環境の中、25年も堅実な業績を残すことができた。26年も難局が続くと予想されるが、慎重に一歩ずつ進んでいく」と語った。
同氏はまた、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=アーティスティック・ディレクターによる「ディオール」26年春夏オートクチュール・コレクションのショーを会場で鑑賞したと話し、「本当に素晴らしかった。その質の高さや豊かなクリエイティビティー、クラフツマンシップに感動して涙を浮かべるゲストもいたほどだ」と絶賛。また、ジョナサンが手掛けたプレタポルテの初コレクションが1月2日から店頭に並んだと述べ、「何事も過剰に楽観視すべきではないが、非常に期待できるスタートとなっている」とコメントした。
今後の成長分野はジュエリー、「ルイ・ヴィトン」でも強化
アルノー会長兼CEOは、今後さらなる成長を見込む分野としてジュエリーを挙げた。「ブルガリ」や「ティファニー」が着実に業績を上げていることもあり、「ルイ・ヴィトン」でも本腰を入れてジュエリーを強化しているという。なお、同ブランドは最近、アジア市場でカフェやレストランを併設したエンターテインメント性の高い店舗を展開しているものの、ホテルや宿泊施設を手掛ける計画はないと説明した。
LVMHは1月19日、免税店DFSの中国市場におけるトラベルリテール事業を、同国最大手のチャイナ・ツーリズム・グループ・デューティフリー(CHINA TOURISM GROUP DUTY FREE)に売却したことを発表している。同氏は本件について、「今後も段階的に(同事業の)資産を手放していく見込みだ」と話した。