アパレルやビューティ企業に地方都市との協働の波が来ている。コロナ禍以降、多くのブランド、セレクトショップ、アパレル企業が東京を出て、地域に根を下ろし、その土地の課題解決のために自治体と包括連携協定を結んで、さまざまな取り組みを行っている。今回の特集では、パートナーシップが始まってから数年がたち、少しずつ成果が見え始めている先行事例を見て、アパレルやビューティ企業の持つクリエイティビティーは街にどんな変化をもたらしたのかを検証する。さらに、直近で包括連携協定を締結した数社にもヒアリングし、地方自治体はアパレルやビューティに何を求めて協働を図るのかを考える。(この記事は「WWDJAPAN」2025年2月10日号からの抜粋です)
そもそも包括連携協定とは、福祉や環境、防災、まちづくりなど、地域が抱えるさまざまな課題に対して、自治体と民間事業者が双方の強みを生かして協働し、課題解決や市民サービスの向上を図り、地域の活性化を進めるために締結する協定のこと。地方自治体が企業と包括連携協定を締結し始めた流れは、安倍晋三内閣時の2014年に、まち・ひと・しごと創生法(平成26年法律第136号)が施行されたことに端を発する。14年以降、ある種のブームとなった包括連携協定だが、課題も多い。事前のすり合わせが不十分のまま締結されてしまうケースや、協定締結自体が目的となり、ほどなく形骸化していくケースも少なくない。また、民間企業にとっては収益性が高いとは言えない場合も多く、それが企業側にとってのモチベーション低下につながることもある。
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