地方自治体が、地域の課題解決や活性化のパートナーにファッション企業を選ぶ事例が増えている。ここでは、直近で協定締結を発表した自治体や企業に取材し、互いに何を期待しどんなまちづくりを目指すのか探った。(この記事は「WWDJAPAN」2025年2月10日号からの抜粋です)
PAL GROUP
× 奈良県吉野郡下市町
「素通りの町」から「人が集まる町へ」
地域に寄り添う商業施設「キト」が地方創生の拠点に
世界遺産の大峯奥駈道や人気の高い天川村、洞川温泉などがある奥大和エリアの玄関口に位置づけられる奈良県吉野郡下市町。これまでは町の知名度が低く、大人数が滞在できる拠点施設もなかったために「素通りされる町」と言われてきた。そこで下市町は地域を活性化するため、廃校となった小学校を利活用するための公募を実施。事業者に選ばれたのが、パルグループホールディングスだった。下市町にぎわい創出協議会の松原正城事務局長は、「パル創業者の出身地ということだけでなく、パルの提案内容が今後の地域づくりに適していると判断した」と振り返る。
2024年7月5日、下市町内に衣食住遊働学健のコンテンツを集積した複合型商業施設「キト フォレスト マーケット シモイチ(KITO FOREST MARKET SHIMOICHI)」が開業した。アパレルのノウハウだけでは、同社が重視する持続可能な拠点施設にはなりえない。企画に際してはタウンミーティングを実施し、地域住民と対話を繰り返した。例えば、町内に書店がなく、本を読める場所が図書館以外にない、物販スペースが不足しているといった地元のニーズを施設計画に反映。地元の農産物を活用したオリジナル商品も地域との交流から生まれた。
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