PROFILE: (右)今井浩恵/シロ代表取締役会長 兼 ファウンダー・ブランドプロデューサー (左)名内隆/北海道栗山町税務課 課長 会計管理者 兼 出納室長

シロは昨年11月、北海道夕張郡の栗山町と「ほっかいどう企業の森林づくり」の協定を締結した。行政と企業が連携し、地域資源を活用した事業を推進することで、町の活性化や環境保全にもつなげる。この協働の背景や取り組みを両者に聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年2月10日号からの抜粋です)
地域資源を未来へつなぐ、
シロと栗山町の共創モデル
WWD:栗山町との出会いは。
今井浩恵シロ会長(以下、今井):15年前から栗山町を訪れ、地域との関わりを深めてきた。2011年に誕生した“酒かす”シリーズには、栗山町の小林酒造の酒かすを使用している。栗山町の森にも関心を持ち、北海道庁に相談を持ちかけた際に紹介されたのが名内さんだった。
名内隆・北海道栗山町税務課 課長 会計管理者 兼 出納室長(以下、名内):森を視察しに来られたとき、説明をしているそばから今井さんがフキノトウを採り始め、「これを150キロ採ってほしい」と。最初こそ驚いたが、スキンケアに活用するというアイデアが面白く、役場の若手50人とともに協力して収穫した。
今井:通常、行政が自ら森に入り、何かを採取することはない。しかし、名内さんは違った。要望を受けるとすぐに行動に移し、具体的な形に落とし込んでいった。町作りや協定の締結においても単なる形式ではなく、実現に向けて具体的に考えられる人物がいなければ、手を組むことは難しい。旗を振る存在がいるだけで、実際にモノ作りが動き出し、変化が生まれる。地方には、そうしたキーマンの存在が不可欠。
WWD:栗山町が抱えている課題は?
名内:人口減少と少子高齢化が進む中、産業の活性化が求められている。町の半分を占める山林も例外ではなく、林業の衰退によって適正な管理が行き届かない状況が続いている。林業は、木を切って植え、次に育つまで30〜50年かかる長いサイクルのため、経営の見通しが立ちにくく、林業者の意欲が低下している。こうした現状を打開するため、北海道庁の制度「ほっかいどう企業の森林づくり」を活用。町だけでは解決が難しい森林管理の課題に対し、企業との連携を進める道を選んだ。2023年は住友林業とその関係企業3社と取り組みを進めた。
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