1993年から上海在住のライターでメイクアップアーティストでもあるヒキタミワさんの連載「水玉上海」は、ファッションやビューティの最新トレンドや人気のグルメ&ライフスタイル情報をベテランの業界人目線でお届けします。今回は輸入製品の大型見本市である「国際輸入博覧会」で見つけた新たな美容トレンド。中国でも人気の高まる、日本発のダイエットサプリを発見しました。
医食同源の国、中国でも注目が高まる「サプリ」
第8回中国国際輸入博覧会はが11月5〜10日、上海で開催された。世界129の国と地域が参加し、4000を超える展示ブースが並ぶ会場は約43万㎡。世界の最新技術と多彩なブランドが一堂に会する国際交流の舞台だ。
あまりにも広く、1日ではとても回りきれないが、今回は私の得意分野である美容関連に加え、近年ますます注目される「健康」領域を見て回った。医食同源の国なので「食べることが身体をつくる」という考えは根付いているものの、近年では中国でも食事だけで必要な栄養を補うのは難しいと、現代人の課題をカバーする手段としてサプリメント市場への関心が高まっている。
面白いのは子ども向け製品では日本以上に「身長」を気にする傾向が強いこと。成長をサポートする粉ミルクや、激しい競争社会ならではの「目」に特化したサプリグミが目立った。大人向けでは、働きすぎや情報過多で疲れた脳をサポートするL-セリン、記憶力や集中力の維持に効果的なDHA、ストレスを緩和し睡眠の質を高めるパッションフラワー配合の安眠タブレットなど、現代社会に寄り添う製品が紹介されていた。
そしてもう一つ、多くの人が関心を寄せていたのが永遠のテーマ「ダイエット」関連の商品である。日本人は「中国人はスラッとしている」と言い、中国人は「日本人はとても細い」と言う。実際にはどちらの国にもさまざまな体型の人がいるが、私の周囲でも「太った」「ダイエットしなきゃ」という言葉を頻繁に耳にする(男女問わず)。特に40代以上の経産女性は、妊娠中に「いっぱい食べなさい」と言われ出産まで食べ続け、その後、元に戻れないケースが多い(最近の若い世代は妊娠中も体重管理を意識している様子だが)。食事は減らしたくないし、運動もしたくない。そんな人々が頼りにするのが、手軽に試せる「ダイエットサプリ」である。
「UNOMI」が中国のZ世代の支持を集めるワケ

注目を集めていたのは、プロバイオティクス(善玉菌)を用いたスイスの「HUj、体内の老廃物排出を助けるホウセンカ抽出物を配合したフランスの「EAFIT」、そしてポップなパッケージが印象的な日本ブランド「UNOMI」(東京・千代田区、黄冰鈺社長)だった。
同行した中国人の友人が「UNOMIはZ世代で話題になっているし、体型も気になるから自分も飲んでいる」と言うので、商品について詳しく聞いてみることにした。人気の理由はまず、透明感のあるスタイリッシュなパッケージ、そして毎日の食事や運動時間に合わせて飲み分けできる設計、小包装で持ち歩きやすい点、さらに効果を実感する人が多いことから(賛否はあるものの)若者たちの支持を集めているという。もちろん日本製に対する安心感があることは間違いない。
3種類のサプリはいずれも「燃」シリーズで構成されている。赤タイプは、パラダイスペッパー抽出物とショウガ抽出物を含み、体内の燃焼を促進する。消費量を高めたい時に適している。緑タイプは、食前・食後どちらでも摂取可、糖の吸収を抑えるギムネマ(匙羹藤)と、代謝を調整するフィンガーライム抽出物を配合し、大きな食事の前後の体重管理や健康維持に役立つ。青タイプは、ワサビ葉抽出物を含み、代謝とエネルギー消費を促進するほか、GABAを配合し、深い睡眠を助け、成長ホルモン分泌と脂肪代謝を促す。就寝前の摂取が効果的とされている。
可愛いデザインと「燃」の文字が、本気でダイエットを応援してくれそうな印象を与える。さらに11月には、新たに「消」シリーズが登場予定で、余分な水分を排出し、むくみを取る効果が期待されている。しかも中国先行発売とのことなので、私も早速試してみようと思う。
展示会でも目立つ「ライブコマース」
最後に、展示会に行くといつも何か新しい発見がある。今回のその一つはなんと言ってもライブ配信の多さ。どのブースにもライバーがいて、あるエリアでは7~8台のテーブルすべてで配信が行われていた。中には有名ライバーもおり、「いいね」の数が1723万5000という驚異的な数字を叩き出していて、ライブが売り上げに直結している現実を実感した。もう一つは、人型や犬型ロボットが旗を持って歩く宣伝方法だ。行き先もわからないロボットに自然と人々が道を譲る光景が印象的だった。着ぐるみがロボットに置き換わる日も近いかもしれない。 またいつか、新たな展示会から気になるコトやモノを紹介できたらと思う。