
1993年から上海在住のライターでメイクアップアーティストでもあるヒキタミワさんの連載「水玉上海」は、ファッションやビューティの最新トレンドや人気のグルメ&ライフスタイル情報をベテランの業界人目線でお届けします。今回は異常なスピードで進化を遂げている「中国のプチプラコスメ」。「激安×超カワイイ」という組み合わせで中国のZ世代を魅了するプチプラコスメを、ベテランのメイクアップアーティスト目線でリポートします。
つけま100セットが110円〜という激安価格
なのに形がとにかく「超カワイイ」
私には上海で中学校に通う15歳になる娘がいる。今時の若者に漏れず美容が大好き。SNSで情報を得ては、買えないものはないと言われる中国最大のショッピングサイト「タオバオ(淘宝)」や、共同購入でかなりの安さを誇る「ピンドゥオドゥオ(拼多多)」を駆使し、学生にも手に届く金額のチャイナコスメにチャレンジしている。値段を聞いてみると、リップグロスで10~20元(約220〜440円)、粘着力のある部分付けまつげが100セットくらいで5元(約110円)〜など、そんなに安くて品質は大丈夫なのか?と心配になってしまうが、若さゆえ質より量、と日々ショッピングサイトに向かっている。
かつては中国製というと中国人でさえ「何が入っているのかわからない」「お肌に悪そう」と避ける人もいたが、ここ数年、中国国産のコスメはだいぶ進化を遂げ、Z世代にはそのような考えがほとんどないどころか「中国人は中国人を騙さない」とまでコメントされ、絶大な支持を得ている。有名なところでは「完美日記(パーフェクトダイアリー)」「花西子(フローラシス)」「花知晓(フラワーノーズ、Flower knows)」など。いずれもデザイン力が素晴らしく、品質も安定していて、アップデートも早いので、消費者を飽きさせることない。これらのブランドは日本にも進出しているので、どこかで見かけたことがある方もいるかもしれない。
娘からの影響もあり、私も「タオバオ」を物色し、チープコスメを購入してみることにした。4色が1本のペンシル状になった、形も可愛く、持ち運びも便利なアイシャドウは8.87元(約195円)、9色コンシーラー5.79元(約127円)、カプセル型のミニリップ12色で16.35元(約359円)、ジェル状スティックラメ9.19元(約202円)、アイライナーに至ってはなんと1.89元(約41円)という安さ。もちろん、日本にも100円ショップがあり、そこにもびっくり価格で商品が並んでいるので、金額的にはそこまで驚くこともないのかもしれないが、何よりもユニークなデザインが多いことを特筆したい。
実際に顔半分で実験
2時間後の結果は?
いろいろ届いた商品を使い、半顔はいつも通りの、もう片方はチープコスメでメイクをしてみることにした。ベースとファンデは自前で簡単に、続いての9色コンシーラーは、少しカバー力が少ない?塗ったと同時に毛穴が目立つのも気になった。そしてアイシャドウは茶系4色を順に重ね、まぶた全体からキワまでグラデーションに仕上げたが、発色は控えめだった。ジェル状ラメも重ねようとしたが、アイシャドウの上で滑るのかうまく乗らなかった。それでもめげずにアイライナーを引くと、やや腰の弱さはあるもののラインは問題なく引け、この価格なら十分な仕上がりだった。続く部分つけまつげは糊付け不要で簡単に装着できた。最後のリップは色数が多く、発色も良く、何よりも持ち運びに便利なのが嬉しい。パーティーの際のあのミニバックの中にでさえも数色忍ばせることが可能だ。
メイク後2時間ほど経ち、娘に「どちらがチープコスメで仕上げた側かわかる?」と尋ねると、すぐに「こっち」と指摘された。鏡を覗いてみると、なんと片目だけがパンダになっていた。長時間の持ちや安定感は、日常的に使うには少し差を感じる結果となった。
使用感や使い方は人それぞれだと思うが、それでもこの金額でここまで楽しめるのなら超級プチプラコスメも悪くない、というのが正直なところ。思いも寄らないデザインや使い方のコスメが日々アップデートされるので、これからもいろいろな商品にチャレンジしてみたいと思う。