ファッション
連載 ヒキタミワの水玉上海 第23回

中国ワインのことなら「ワインアップ」、試飲イベントからリゾートまで提供【ヒキタミワの水玉上海】

1993年から上海在住のライターでメイクアップアーティストでもあるヒキタミワさんの連載「水玉上海」は、ファッションやビューティの最新トレンドや人気のグルメ&ライフスタイル情報をベテランの業界人目線でお届けします。今回は前回に引き続き「中国ワイン」について。アプリ発のワインショップ「Wineapp(ワインアップ)」を軸に、中国ワインの魅力に迫ります。

前編はこちら

中国ワインのことなら「ワインアップ」

中国ワインを探すなら「ワインアップ(Wineapp)」に行ってみては——そう助言をくれたのは前出のSomaのゼネラルマネージャー上池俊介氏だった。実は私自身、この店には何度か足を運んだことがあったのだが、これまで視線を奪われていたのはワインクーラーに横たわる海外銘柄ばかりで、店内の大部分を占める棚置きの中国ワインをきちんと見ていなかったのだ。

改めて店内を見渡すと、何列かある棚には「寧夏」「新疆」「西藏」などの地域名がはっきりと表示され、産地を比べながらワインを選べるようになっている。並ぶボトルは500種類以上、形も雰囲気もさまざまで、ラベルやデザインにもそれぞれの個性が感じられる。栓に王冠が使われていたり、手書き風のカピパラのイラストが描かれていたりと、思わず目を引くユニークなワインも多い。こうして地域性や造り手の個性が視覚的に整理されているからこそ、中国ワインがすでに独立したカテゴリーとしてしっかり根づいていることを自然に実感できる(言われるまでなぜ気づかなかった?)。

「ワインアップ」は、英国発のオンライン即時配送型プレミアムワインアプリとして誕生し、2019年に中国市場へ参入した。O2Oモデルと都市部30分配送を軸に事業を拡大し、世界各地のワインを扱いながら中国ワインの取り扱いも強化している。「煙台」や「雲南」など主要産地を幅広くカバーし、特に成長著しい「寧夏・賀蘭山東麓(ニンシャー・ホーランシャンドンルー )」の銘柄を中心に、品質・個性・市場適合性を基準として専門チームが選定している。

来店者の中心は、日常的にワインを楽しむ個人消費層である。家で楽しむ時間や気軽な集まり、食事とのペアリングなど、生活に密着した需要が主流となっている。体験型店舗では料理との組み合わせを前提とした提案が行われ、実際にワインを飲むシーンを思い描きながら選べる環境が整えられている。店員のワインに関する知識も豊富で、相談や質問をしながら、納得してワインを選べるのが嬉しい。

同社はワイン体験の幅を広げる拠点も展開している。上海市内には数店舗のレストラン、そして四川省の峨眉山には、ワイン温泉をテーマにした「Zoland嵐域(ランユー)ワインアップ リゾートホテル」を開業し、宿泊・温泉・ワインを組み合わせた滞在型の体験を提案している。ワインをただ味わうだけでなく、レジャーや観光と結びついた楽しみ方が広がっているのだ。

「ワインアップ」は店舗やホテルの運営にとどまらず、中国ワインの認知を広げる取り組みも継続している。ワイナリー巡礼や試飲会、マスタークラスを通じて、生産者と消費者が直接出会える機会を丁寧に積み重ねてきた。2025年8月末には第3回となる大規模なワインテイスティングイベントを上海で開催し、65を超えるワイナリー、900本以上の国産ワインが集結。来場者は延べ1000人を超え、産地や造り手の多様な個性が一つの空間に集まり、中国ワインの広がりを実感できる場となった。

中国ワイン産業の現状について、「ワインアップ」の創業者兼CEOのデイヴィッド・ホー(David He)氏は、「量は減り、質は高まり、全体の仕組みも整いつつあり、業界が大きな転換期にある」と語る。中国ワインの市場シェアは着実に広がり、輸出も大きく伸びている一方で、輸入ワイン市場は縮小し、産業の再編が進んでいる。輸出先はアジアが中心で、主な市場は香港とシンガポール。今後は品質向上、ブランド力の強化、デジタル化を軸に、中国ワインの国際展開はさらに広がっていくとみられている。

国産ワインの成長と進化といった業界の変化は、店頭の光景にもはっきりと表れている。市場規模は依然として限定的ながら、産地の多様化と品揃えの充実は着実に進んでいる。店舗に並ぶ膨大な数のボトルが、その変化を目に見える形で示している。

中国ワインは、すでに特別な存在ではなく、日常の選択肢の一つとして流通し、体験され、評価され始めている。最近は日本のレストランなどでもお目にかかることができるので、チャンスがあればぜひトライしてみてはいかがだろうか?

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