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転換期に立つトラベルリテール業界 客単価減少で求められる購買体験の再構築

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トラベルリテール業界は追い風と向かい風が入り混じる中、不安定な航路を進んでいる。香水・化粧品を主力とし、700億ドル(10兆9200億円)を超える規模を誇る同チャネルは、地政学的・経済的変化、そして急速に変わる消費者層と購買行動の影響を真正面から受けている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年12月1日号からの抜粋です)

旅客数回復も、客単価は減少

9月28日から10月2日までフランス・カンヌで開催された世界最大のトラベルリテール業界の見本市「TFWAワールド・エキシビション&カンファレンス」の今年のテーマは「新たな地平の探求」だった。大手コンサルティング会社カーニー(KEARNEY)のルドルフ・ローマイヤー(Rudolph Lohmeyer)=カーニー シニアパートナーは「われわれが深刻な混乱の時代に直面していることは疑いない」と述べ、この状況が3~5年続くと予測した。人々の旅や探求への本能的な欲求は衰えておらず、航空旅客数は今後20年で年間18億人へと倍増する見通しだ。

エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)のマシュー・グラウドン(Matthew Growdon)=アジア太平洋・トラベルリテール部門プレジデントは、「業界にとってエキサイティングなのは、われわれのターゲットの消費者層は、可処分所得を海外旅行に充てられる高い購買力を持っていることだ。しかも、空港という洗練された美しい小売り空間で直接接点を持てる」と語る。しかし、フィリップ・マルゲリット(Philippe Margueritte)TFWA会長は、「コロナ後に学んだ最大の教訓の一つは、旅客数と売り上げの伸びが連動するとは限らないことだ」と指摘する。

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