主要百貨店4社の11月度の売上高は、全社が前年同月の実績を上回った。11月7日の高市早苗首相による台湾有事の「存立危機事態」への言及をめぐり、中国政府が日本への旅行の自粛を国民に呼びかけたため、インバウンド(訪日客)による免税売上高に影響が出るかが注目された。現時点では企業・店舗ごと売り上げ増減にバラつきが出ている。
11月度の全体の売上高は三越伊勢丹が1.4%増、高島屋が3.7%増、大丸松坂屋百貨店が5.1%増、阪急阪神百貨店が3.6%増だった。前年同月に比べて休日数が2日多かったことに加えて、気温が低下したことから秋冬衣料が活発に動いた。国内客にコートやブルゾンなどの防寒着がよく売れたと各社は口をそろえる。
一方、免税売上高の増減はバラつきがある。大丸松坂屋の免税売上高は13.6%増(客数9.9%増、客単価3.4%増)で、同社広報は「今のところ大きな変化はない」と話す。一方、高島屋の免税売上高は3.1%減だったが、同社広報は「特に大きなマイナスとは捉えていない」と言う。三越伊勢丹も基幹3店舗(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)の免税売上高が5.3%減だったものの、主な理由としては「前年同月の実績が非常に高かったため」としている。
阪急阪神百貨店の免税売上高は前年同月をやや下回った。「中国のお客さまの免税売上高は月間としては前年を上回ったが、日中関係の緊張の高まりの影響もあり、11月後半は海外VIP顧客以外のツーリスト客の売上高が約2割減と大きく下回る推移となった」と説明する。