27日に東証グロース市場に上場したHUMAN MADE(ヒューマンメイド)の松沼礼CEOは、初日の取引終了後に記者会見し、「今回の上場は、日本発のカルチャーを永続させるための壮大なチャレンジだ」と抱負を述べた。この日は公開価格3130円を9.9%上回る3440円の初値を付けた。終値は3445円で、時価総額は約812億円になった。
同社はアパレル企業の枠組みに収まらないビジネスモデルを掲げる。創業者でクリエイティブディレクターのNIGO®、アドバイザー契約を結ぶファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)、パートナーシップ契約を結ぶVERDYとKAWSらが中核となり、ファッションとライフスタイルで実験的な試みを広げていく。松沼CEOは「(社名の通り)人間のひらめきと人の手から生まれるカルチャーの芽を、マンガ、アニメ、ゲームに並ぶクリエイティブ産業に育てる会社。自社をそう定義している」と説明した。
株式上場で集めた資金は、国内外での出店拡大やM&Aなどの成長投資に充てる。国内では既存直営店の4倍の面積の旗艦店を26年夏に原宿、27年夏に梅田に出す予定だ。海外では2年以内に現地法人を設立し、アジアや欧米での出店拡大にアクセルを踏む。
松沼CEOは創業者のNIGO®について「一緒に仕事をして感じるのは、独自の真善美で本質を見抜く力が卓越していること。それを多くの人に届ける編集力も持ち合わせる」と信頼を寄せる。一方でNIGO®一人のクリエイションに依存するのではなく、新しい才能にも積極的にアプローチすることの重要性を説いた。親和性の高いクリエイターやIP(知的財産権)の獲得、あるいは企業のM&Aに投資していく。