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特集 CEO2026

【シロ 福永敬弘社長】新規海外出店数が国内超えへ グローバル展開本格化

PROFILE: 福永敬弘/社長

福永敬弘/社長
PROFILE: (ふくなが・たかひろ)1973年生まれ、広島県出身。大学卒業後、リクルートに入社。雑誌編集長やメディアプロデュース責任者などを経て、2014年にシロに入社。経営全般の戦略立案や、新規・海外事業の実行を担当。16年、専務に就任。21年から現職 PHOTO : KOJI SHIMAMURA

「シロ(SHIRO)」は2009年のブランドスタート以来、「意思のあるブランド」を掲げ、全ての資源の価値を尊重する廃棄物ゼロの姿勢で製品づくりから店舗づくりまで一貫して取り組んできた。25年は多くの新製品や韓国・聖水にオープンした旗艦店が大きな話題を集め、成長のギアを一段引き上げた年となった。日本発ブランドとしての存在感を武器に、海外市場での垂直立ち上げに踏み出している。

グローバル展開に手応え
韓国では現地生産を視野に

WWD:新製品のヒットが目立った。

福永敬弘社長(以下、福永):25年に発売した新製品は158SKUで、これらがしっかり稼いでくれた。新製品の数が前期比30%増だったのに対し、売上高は同67%増となり、新製品がお客さまとの接点を作ってくれたことは「シロ」らしい営みだったと思う。その一方、11月末時点でのブランド全体の売上高は同30%増で、新製品に比べて既存製品の伸長率が低かった。実店舗は営業時間にも売り場面積にも制限があり、新製品は接客にも時間がかかる。しかしわれわれは店頭の売り上げが7割を占めるリテーラー。店舗の効率化が必要だと思っている。

WWD:その中で売り上げをけん引した製品は。

福永:7月に発売した香水シリーズ“パルファン”に加え、毎夏限定販売している“アイスミント ボディミスト”が好調だった。例年より早い時期に40万個発売したにもかかわらず、瞬間で完売した。4月に発売した、徳島県那賀町の木頭ゆずを原料とする“ゆずシリーズ”4製品もすぐに完売した。生産量を増やしたくても、那賀町で採れる木頭ゆずには限界がある。今後、安定した需要と供給のバランスを保つため、25年7月に地域農業活性化包括連携協定を締結した。

WWD:4月に韓国・聖水にオープンした旗艦店「SHIRO Seongsu(聖水)」も盛況だ。

福永:百貨店やモールに出店するのが楽なのかもしれないが、リスクを負って聖水に旗艦店をオープンしたことは大きかった。一番賑わいのある場所で、お客さまとのタッチポイントを持てたことに加え、日本同様に若い男性客が多く、日本を代表するフレグランスとして「シロ」が認知されていることも分かった。オープンから2日間で約2500人のお客さまに来店していただき、1億ウォン(約1000万円)の売り上げとなった。12月には韓国2号店をロッテワールドモール内にオープンしたが、今年はさらに5〜6店舗をオープンする予定。韓国市場はポテンシャルがあり、30年までに100億円の売り上げを目指す。

WWD:韓国初進出で、海外展開の手法を変えた。

福永:これまで海外では現地法人を設立して展開してきたが、韓国では長期的に共創できるパートナーと組み、ジョイントベンチャー方式を採用した。オープン時には韓国限定の香り“スズラン”を投入し、将来的には現地生産も視野に入れている。同時に海外でのプライシングも大事で、特に韓国は上代価格比を15%程度に設定している。将来的には店舗も販売量も増え、ビジネスの規模も大きくなるので10%を切れるくらいを目指したい。

WWD:韓国でも持続可能な店づくりを実践している。

福永:韓国・文来洞(ムンレドン)の鉄工所で出た型抜きされた銅材を譲り受け、什器の天板に置いて製品をディスプレーし、デザインの力で蘇らせた。この銅材は、活用後、鉄工所へお戻しした。街との共存ができた例で、「借りて返す、そして捨てない」店づくりができた。

WWD:「みんなの工場」もアップデートしている。

福永:11月には敷地内にイノベーティブレストラン「モリシロ」をオープンした。北海道の森にある食材を料理するレストランだが、その食材を通してメッセージを受け取り、感じながら楽しんでほしい。また、今秋には砂川駅前にホテルがリニューアルオープンする。泊まる場所がないと滞在時間は短くなり、経済効果も半減するため、ホテルは地方創生という意味でも大きな役割を果たす。そのホテル内にはアーカイブ製品なども並べる新しいスタイルの店をつくりたい。

WWD:26年は出店を加速する。

福永:8月には銀座に50坪で2層の新店を出す。北海道砂川と東京・表参道の旗艦店に次ぐポジションとなる店だ。全製品をそろえ、海外からのお客さまのファーストタッチポイントとなることを期待している。今年は香港への初出店に加え、台湾でも2店舗目のオープンを控えている。海外の出店数が国内を上回る見通しで、創業以来初めてのこととなる。

WWD:新たなエシカルな取り組みは。

福永:
「シロ財団」を立ち上げ、社会的に弱い立場にある人々を支える団体へリソースを提供する取り組みを、今年から本格的に始める。併せて、社員がそうした活動に関わりやすい環境づくりと意識改革を進めていく。その一環として、4月から店舗、製造現場含め週休2.5日にする。増えた0.5日は、社会に目を向け、感じ、つながる時間として活用してほしい。社会のために働くソーシャルステップ休暇などの制度もあるので、こうした制度を活用し、従業員の意識によって社会に変化を与えるような流れが生まれることを期待したい。

個人的に今注目している人

内閣総理大臣 高市早苗さん

賛否両論あると思うが、意思を持ってけん引しているリーダーだと思う。「働いて、働いて、働いて」と言ったが、人に「働け」と言っているわけではなく、自らが国のために頑張り、献身的に働こうとしているのだから、それを応援しない理由はない。いろんな圧力があっても、それに屈して意気消沈せず、今の勢い、発言力、力強さをこれから先も持ち続けてほしい。

COMPANY DATA
シロ

国内外で見つけた素材の力を最大限に引き出す、スキンケア、メイク、フレグランスを提案。自社内に開発から販売まで全機能を持ち、創業当初からエシカルなモノづくりを続ける。日本全国に直営店舗を展開するほか、ロンドンや台湾、ソウルに店舗を構える。23年、創業の地である北海道砂川市に新工場と付帯施設を含む「みんなの工場」をオープン。昨年11月にはイノベーティブレストラン「モリシロ」をオープン。食のセレクトショップ「シロ ライフ」や宿泊施設「メゾン シロ」も手掛ける

TEXT : YOSHIE KAWAHARA


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シロ
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