動画共有プラットフォーム 「TikTok」を運営するバイトダンスは3日、「TikTok」にEC機能を統合した「TikTok Shop」の日本提供開始から半年を記念して記者会見を行った。TikTok Shop Japanゼネラルマネージャー兼執行役員の邱開洲氏は、この半年の成果として「流通総額(GMV)の約7割が、(検索ではなく)ショート動画やライブ配信などのコンテンツ起点の売り上げ」と説明。また、新規プロジェクトとして地方の魅力ある製品を全国へ届ける「TikTok Shop Local」を3月に開始すると発表した。
TikTokは現在、150の国・地域、75言語で展開する。日本の月間アクティブユーザー数(MAU)は4200万人を突破し、「人口の約3人に1人がTikTokを楽しんでいる規模」(広報責任者)という。同社によると、TikTok経由の年換算ベースの推定消費額は2375億円に上るという。
TikTok Shopはグローバルで18市場に展開する。日本では、昨年6月に提供を開始した。「出合いがそのまま購入につながる」購買体験を“ディスカバリーEコマース”と定義し、ショート動画やライブ配信などのコンテンツを起点に、アプリ内で購入までを完結できる点を強みとしている。
日本市場ならではの特徴
邱氏は、TikTok Shop日本版の流通総額(GMV)の約7割がコンテンツ起点の売り上げであることを強調し、「コンテンツをきっかけにユーザーが製品と出合い、購入に至った結果で、ディスカバリーEコマースを体現している」と述べる。販売事業者は美容、ファッション、食品・飲料、生活用品、地域特産品などで約5万を超え、クリエイターは20万人以上に拡大。購入ユーザー数は、サービス提供開始時点との比較で20倍以上に増加したという。ユーザーの年齢層は、18〜34歳と35歳以上がそれぞれ全体の約半数を占める。
TikTok Shopの日本での進捗については、「同時期に開始した国々や(英米などの)先行市場の同期間比較でも市場への浸透度が高く、順調」と評価。日本市場の特徴として「ライブ配信の重要度」と「ユーザーの慎重さ」を挙げ、ライブ配信経由のGMVは「世界を見ても日本が突出して高い」と述べ、「ユーザーはクリエイターと信頼に基づく長期的な関係を築きやすく、ロイヤルティーの高いファンコミュニティーが形成されている。コンテンツと信頼を軸とするモデルは、日本市場ならでは」と説明。
また、日本の消費者は商品の詳細ページやレビューを確認してから慎重に商品を選ぶ一方、返品率が低い傾向にあるという。レビューが商品購入の意思決定に重要なことから、レビュー投稿促進施策を行い「レビューが付いている商品の比率を20%から30%まで引き上げた」と手応えを話す。
カテゴリー別の動向
カテゴリー別の動向では、ビューティ&ファッション領域では、両カテゴリーともライブ配信の売り上げ比率が70%を超えるとし、ファッションは「販売事業者による動画やライブ配信から購入に至っている比率が79%」、ビューティは「クリエイターによる成果報酬型販売(アフィリエイト)によるGMVが53%」(ビューティ&ファッションカテゴリー担当者)と紹介した。
マルチカテゴリー領域では食品・日用品などの消費財が成長をけん引し、開始時点から「約57倍に成長」(マルチカテゴリー担当者)と説明する。今後は日本市場向けにCRM(顧客関係管理)、ポイント付与、定期購入などの機能拡充を進める方針も示した。
地方創生プロジェクトを始動
また新施策として、地域の特産品や中小事業者の商品を全国へ届ける地域連携プロジェクト「TikTok Shop Local」を発表した。課題として挙げた販路の限られた状況や情報発信機会の不足に対し、動画・ライブを通じた“発見”を起点に購入へつなげる狙いを示した。第1弾は3月中の実施を予定する。
出店企業「製品背景が深く伝わる」
販売事業者による鼎談では王子製薬、オカラテクノロジズ、花王「ケイト(KATE)」の担当者が登壇。ライブ配信による双方向コミュニケーションや、製品背景を深く伝えられる点を評価した。王子製薬は他プラットフォームとの違いについて、顧客の「反応の速さ」を挙げ、「製品を紹介するとすぐに質問のコメントが来て売れる。製品の魅力が今伝わっていることを感じられる」と話した。広告活用では、広告経由GMVが前月比プラス4593%となった事例が紹介された。
オカラテクノロジズはフードロス削減の文脈で共感が広がり、「TikTok Shop以外も含むEC全体で新規客が約130%増えた」と説明。「ケイト」は「売る場である以上にブランドを知ってもらう接点としてかなり手応えを感じている」とし、オンライン体験が店舗来訪などオフライン行動につながる感触を語った。