ファッション

“美”から“快適”へ価値観がシフト 注目の下着ブランド4社に聞く好調の理由

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日本では長年、大手「ワコール(WACOAL)」と「トリンプ(TRIUMPH)」が女性の下着市場をけん引してきた。女性の下着に対する価値観は時代ごとに変化する。大手は、それを反映した機能のブラジャーを開発し、CMを打って数百万枚売れるヒット商品を生み出してきた。ところが、2000年以降は「ユニクロ(UNIQLO)」などの異業種が参入し、業界の構図が大きく変化。“他人目線の美しさ”よりも“自然体の美しさ”といったボディーポジティブの動きをはじめ、コロナ禍で消費者の価値観が“美”から“快適”へ大きくシフトした。おまけに、下着もECで購入する動きが加速。ECでは試着できないため、ブラジャーのアンダー×トップバストという複雑なサイズ表記よりも、S、M、Lというシンプルなものが支持されるようになった。それを象徴する大ヒット商品が「ユニクロ」の“ブラトップ”だ。ブラジャーとキャミソールが一体化したカップ付きインナーで、快適さと手頃な価格から下着市場の主流アイテムとして定着した。(この記事は「WWDJAPAN」2026年1月5日&12日合併号からの抜粋です)

英調査会社ユーロモニター(EUROMONITOR INTERNATIONAL)によると日本の下着市場規模(保温インナーやスポーツブラなどを含む)は、19年は約5023億円、コロナ禍でいったん落ち込むが、22年以降回復し、25年は約5381億円だ。なのに大手は苦戦、輸入ランジェリーブランドが次々と撤退し、百貨店の売り場も縮小傾向にある。一方で、下着をファッションの一部として見せるランジェリールックが主要トレンドに。最近では街中でも、スリップやブラジャーを見せるファッションや、クロップド、オフショルダーといった肌見せスタイルが広がっている。このような需要に応える下着とウエアの境界線を超えるブランドが登場し、百貨店で売れているのも、ファッション感度の高いプレミアム価格帯だ。こういった状況で、独自の戦略で着実に売上高を伸ばしているブランドもある。川原好恵ランジェリーライターに、日本における下着市場の今をリポートしてもらう。

機能と価格戦略には限界
柔軟な発想と独自性が成長の鍵に

川原好恵/ランジェリーライター

大手メーカーの苦戦もあってか、下着業界全体が縮小しているかのような文脈で語られることが多いが、一方で多様化する市場において独自の商品展開で売上高を伸ばすブランドもある。その中から注目のブランド四つをピックアップした。伸長の要因は、時流に応じた方向性の転換やマーケティング、ラグジュアリー化などさまざま。4社に共通しているのは質の高さはもちろんのこと、従来の概念にとらわれない柔軟な発想と独自性だ。老舗も新興も関係ない。機能の打ち出しと価格戦略には限界がきている下着市場における、成長へのヒントを探る。

「リリピアーチェ ニューヨーク」

バランス抜群の商品力で百貨店で確かな存在感

早瀬芳子・彩子姉妹による「リリピアーチェ ニューヨーク(LILIPIACHE NEW YORK)」(以下、リリピアーチェ)は、2013年にニューヨークで誕生した。ニューヨーク在住の彩子さんがデザインとパターンを、奈良在住の芳子さんがデザインおよび生産管理・店舗運営を担当。現在は百貨店常設2店舗と長期ポップアップ、自社ECで販売している。24年度の売上高はコロナ禍前の19年に比べ約3倍に伸長。独立系デザイナーズブランドの多くがECを主販路とする中、百貨店の売上高が9割を占める。

独立系ブランドが百貨店に常設店を構えるのは至難の業だが、「リリピアーチェ」はポップアップで実績を積み、18年に阪急うめだ本店、21年には伊勢丹新宿本店に常設店を出店。芳子さんはその理由について、「インポートランジェリーのテイストを反映したデザイン、日本人でも着けやすいパターン、手に取りやすい価格が受けた」と話す。ファッション感度の高いデザインとフィット感の良さ、見た目と価格のバランスが百貨店の顧客の支持を得た。

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