スノーピーク(新潟、山井太社長)は2025年春夏、フライフィッシング事業に本格参入する。強みのオートキャンプ事業にフライフィッシング事業を掛け合わせて、新しい体験価値を提供するのが狙い。アパレルの新ラインとして「スノーピーク フライフィッシングアパレル(SNOW PEAK FLY FISHING APPAREL」を立ち上げるほか、フライフィッシング拠点を兼ねたキャンプフィールドの拡大を目指す。「初年度は、アパレルラインで売上高1億円を見込む」とフライフィッシング事業を担当する青栁克紀執行役員。
急成長を支えてきたオートキャンプ事業のニーズが一巡したことで、キャンプとの組み合わせで、より深く楽しめるアクティビティーの1つとしてフライフィッシングに注目したという。同社は09年に、経営の選択と集中の一環として、海釣りを中心としたフィッシング事業を現グローブライドに売却していた経緯があるが、その際もフライフィッシング事業は残していた。また、フィッシングギアやフィッシング・アウトドアアパレル「フォックスファイヤー(FOXFIRE)」を手掛けるティムコ(酒井誠一社長)と19年に資本業務提携しており、24年にはニュージーランド発のフライフィッシングブランド「エピック(EPIC)」を傘下に収めている。
山井社長も30年来の愛好家
アパレルラインは2月14日から、スノーピークの国内19の直営店で販売する。25年春夏物は、「ゴアテックス(GORE-TEX)を使用したレインシェルジャケット(8万3600円)や、ウェーダーと呼ぶつなぎ(11万9900円)、フィッシングベスト(4万3890円)などを企画した。ヤマメをモチーフにしたグラフィックが同ラインのデザイン上のポイントだ。開発にあたっては、30年来のフライフィッシング愛好家という山井社長の知見も生かすとともに、例えばフィッシングベストは、キャンプ用アパレルで人気の“TAKIBI”シリーズのベストのデザインを生かして開発している。
釣り竿や毛ばりなどのギアに関しては、アパレルラインを取り扱う19店の全てでティムコとの協業商品を販売。また、6店には「エピック」のギアも導入し、フライフィッシングコーナーを設けて展開する。
釣りができるキャンプ場を拡大
「オートキャンプの既存顧客は元来アウトドアアクティビティーに興味が高い層。彼らをフライフィッシングの世界につなげることで、近年は新規参入者が少なく、フィールドの再生が課題となることも多いフライフィッシングの業界も盛り上げられたら」と青栁執行役員。フライフィッシングの分野で、「アパレル、ギアを包括的に扱う総合ブランドは、国内ではまだ少ない」点にも可能性を感じたという。
新潟・三条のスノーピーク本社敷地内のスノーピークヘッドクォーターズにもフライフィッシングパークがある。そのほか、23年に開業したスノーピーク白河高原キャンプフィールド(福島)にフィッシング用ポンドを設けている。「今後、こうした体験施設を国内外に広げていきたい」といい、初心者向けのフライフィッシング体験イベントや渓流ガイドツアーなどを今後実施予定だ。店頭での毛ばり作成ワークショップなども計画している。