ファッション

「イッセイ ミヤケ フット」デビュー アシックスのスポーツスタイル部門とタッグ組んで第一弾を年明け発売

三宅デザイン事務所(以下、MDS)は、アシックスと共同してフットウエアの開発プロジェクト「イッセイ ミヤケ フット(ISSEY MIYAKE FOOT)」をスタートした。第一弾のスニーカー“ハイパー テーピング”を2026年1月5日に発売する。「イッセイ ミヤケ フット」は、セイコーと取り組む「イッセイ ミヤケ ウオッチ(ISSEY MIYAKE WATCH)」、フランスのボーテ・プレステージ・インターナショナル(BEAUTE PRESTAGE INTERNATIONAL)とタッグを組む「イッセイ ミヤケ パルファム(ISSEY MIYAKE PERFUMS)」、2015年にスタートした「イッセイ ミヤケ アイズ(ISSEY MIYAKE EYES)」に並ぶプロジェクトの位置付けで、今後も年に1度程度のペースで新商品を発売したい考え。三宅デザイン事務所では、「アイムメン(IM MEN)」を手掛ける河原遷がプロジェクトチームをまとめ、アシックスはファッションやライフスタイルのカテゴリーにあたるスポーツスタイルのチームが参画した。

協業は、MDSからアシックスに提案した。河原は「(三宅)一生さんから2021年、長年考えていたらしい『アシックスと靴の共同開発ができないか?』とのオーダーをもらい、共にどんな取り組みにするか考えてきた」と話す。目指すのは、「履きやすい道具として、普段の生活の中に落とし込めるシューズ。アイコニックなものではなく、毎日履ける、洋服と合わせられる、履きやすい靴を目指し」、MDSはデザインの力で生活に根付くものを、アシックスはそのデザインを履きやすいシューズに仕上げることを目指した。

第一弾はアシックスのストライプを
テーピングというコンセプトに昇華

河原が手掛ける「アイム メン」が6月にパリで開いた26年春夏のファッションショーにも登場していた第一弾のスニーカー“ハイパー テーピング”は、アシックスのデザインアイコンであるストライプを再構築して誕生した。このストライプは、意匠であると同時に、強度やフィット感の向上などを意図してデザインされたもの。そこでMDSは、機能や構造とデザインを融合させたストライプに着想を得て、身体を固定することで運動をサポートする「テーピング」というコンセプトを発想。アシックスは原型にレスリング用のスニーカーを選び、新しいソールや新型のラスト(足型)を製作した。MDSは、「ストライプはアキレス腱の保護やアッパーの強度向上を狙ったデザインと知り、デザインを機能として昇華させるアシックスの姿勢に改めて共通点を感じた。そこでテーピングを視覚的にも、本質的にもデザインしていくことを目指した」という。カラーは蛍光グリーンとオールブラック、オールグレーの3色展開。MDSは、「元来テーピングは目立たないものだが、見せるテーピングが存在してもいい。一方で生活に馴染むことも目指しているので、普遍的な色もラインアップに加えている」という。

テーピングの造形は、オリジナルの太いゴムバンドで足を包み込むラインなどで表現した。ゴムバンドはスニーカーのサイドの内側に巻き込まれる形になっており、足のホールド力を高めている。レスリング用のアウトソールは、吸い付くように歩くヤモリの足から着想を得たもので、優れたグリップ性と印象的な意匠の両立を図った。元来は細身なレスリング用アウトソールをもとに、長時間履くことを想定して幅を広げた新しいラストを制作。反発力に優れた中敷きなどを採用することで、薄底のソールながら快適性を追求している。 アシックスは、「テーピングは、素足にするもの。だからある種履いていないように思えるほど、厚みのないレスリングシューズをベースに選んだ」と振り返る。

アシックスはMDSとの協業を、「見た目に振り切った後で技術的に成立するか否かの妥協点を探っていく通常のコラボレーションとは違う、『新しい普通』や『新しい快適性の提供』を目指した協業は他にない。もちろんインラインでは『新しい快適性の提供』を目指しているが、当社の場合、そうした知見は通常アスリートからのフィードバックなど、スポーツの知見からやってくるもの。デザイン視点のインスピレーションを形にするのは大変だったが、新しい経験になっている」と話す。また、「コラボスニーカーは過剰なデザインになりがち。MDSの1つ加えたら2つ減らすようなアプローチは新鮮で、最終的に新しくも普遍性のあるデザインに仕上がった」と振り返った。

商品は双方のECなどで販売
今後は、3種の協業方法を模索

一方のMDSの河原は、「シューズのイニシャルコストは、洋服以上であることを改めて知った。洋服は究極、生地とミシンがあれば作れるが、シューズにはいろんなものが凝縮されている。自分達の提案が形になるかどうかわからなかったが、アシックスはベースにレスリング用のシューズを選ぶなど、MDSのデザインの可能性をさらに広げてくれる選択肢を示してくれた」と話す。

河原は今後について、MDSの技術を靴作りに応用する方法、アシックスの精神をMDSの視点で再解釈する方法、そして双方のアプローチを取り入れて全く新しいシューズを共同開発する方法の3種があると考える。ちなみに今回の“ハイパー テーピング”は、アシックスの精神をMDSの視点で再解釈したものだ。商品は23〜29.5cmまで0.5cm刻みで、「イッセイ ミヤケ」の大型店やオンラインストア、アシックスのオンラインストアなどで販売する。価格は3万3000円。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

Timeless, Yet New 変わらない吉田、世界を変える【WWDBEAUTY付録:今こそ立ち上がれ、日本化粧品】

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。