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連載 エディターズレター:MARKET VIEW 第61回

西武とエルメス

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全面改装中の西武池袋本店から「エルメス(HERMES)」が退店するというニュースが大きな話題になりました。

有名ブランドの退店という事実以上に、歴史的な経緯を踏まえると一つの時代の終焉を感じさせる出来事です。記事で触れられている通り、「エルメス」を日本に持ってきたのは旧西武百貨店でした。1964年に代理店契約を結び、83年には仏エルメス本社と西武百貨店との折半出資で日本法人エルメスジャポンを設立しています。初期のエルメスジャポンは西武出身者が社長を務めていました。

1980年代、西武百貨店は「ファッションの西武」と呼ばれる圧倒的な存在でした。西武百貨店およびセゾングループを率いた堤清二氏は、“下駄履きデパート”と揶揄された西武池袋本店を最先端の店へと変貌させます。

その代表例が欧米の一流ブランドの導入でした。「エルメス」以外にも「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「ジョルジオ・アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「ミッソーニ(MISSONI)」「ラルフローレン(RALPH LAUREN)」――西武が橋渡し役を果たしたブランドはたくさんあります。他の百貨店が日本の商社が企画したライセンス品を売っていた1970年代、直輸入のオリジナル品をどこよりも充実させてファッション感度の高い消費者の支持を集めていたのが西武でした。現代でいうラグジュアリーフロアの先駆けです。

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