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「ユニクロ×マメ」仕掛人の敏腕MD、パリに行く 【ユニクロインナー、グローバル化への道:前編】

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PROFILE: 炬口佳乃子/ユニクロ商品企画担当部長

炬口佳乃子/ユニクロ商品企画担当部長
PROFILE: (たけのくち・かのこ)1996年に新卒でユニクロに入社し、ロンドンの店舗開発オープンなどに携わった後、一旦退社。2006年に再入社し、カットソー、シャツなどのMDを歴任。現在は、ウイメンズインナーなどの開発を担当。23年4月にファーストリテイリング イノベーション センター パリへ異動

ユニクロ(UNIQLO)」でウィメンズインナーを担当する炬口佳乃子(たけのくち・かのこ)商品企画担当部長は、「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI)」とのコラボ「ユニクロ アンド マメ クロゴウチ(UNIQLO AND MAME KUROGOUCHI)」や“エアリズムマスク”など、数々のヒット商品を生み出してきた敏腕MDだ。これまでファーストリテイリング有明本部でグローバルのMDを統括してきたが、2023年4月にファーストリテイリング イノベーション センター パリ(Fast Retailing Innovation Center Paris、以下FRICP)に異動。異動の目的やパリで目指すことを現地で取材した。前後編の2回にわたってお届けする(後編は小林里実R&Dウィメンズインナーデザイナーも参加)。(この記事は無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)

――パリのFRICPに異動してまもなく1年。そもそも異動した目的は。

炬口佳乃子ユニクロ商品企画担当部長(以下、炬口):異動したのは23年4月だが、私の中では22年夏ごろからそういう思いが生まれていた。国内では、ボイス・オブ・カスタマー(以下、VOC。ユニクロのコールセンターやECサイトに寄せられる消費者からのコメントのこと)や現場の声を聞いて改良や改善を重ね、少しずつ評価を上げて前進している実感があった。その一方、海外事業は伸び悩んでいて、世界から情報を集めてはいるものの、日本国内のようなピンとくる手応えがなかった。どこかで、私自身が海外に身を置き、お客さまや店に近いところで改良や改善をやりたい、やる必要があると強く感じていた。

それを上司に相談したところ、ちょうど社内でMDが海外拠点に異動することを推奨する気運が高まった時期と重なったこともあり、「ぜひに」という話に。具体的に「海外のどこへ?」となった時、グループ内に下着の歴史やノウハウを蓄積している「プリンセス タム・タム(PRINCESS TAM TAM)」(以下、プリタム)があり、プリタムチームが居るフランスはランジェリーの本場と言える国。「では、パリに!」となり、私1人では何もできないので、デザイナーとパタンナーの3人で異動することにした。

――確かにフランスはランジェリーの本場かもしれないが、コルセットがルーツにあり、レース使いのフェミニンなものが多い。ノンワイヤーでモールドカップのシンプルなデザインが柱の「ユニクロ」インナーとは、テイストが違うように感じるが。

炬口:もちろん、フランスには独自の下着文化があることも分かっていたし、フランスが下着文化の全てとも思ってはいなかった。ただ、欧州の人たちが考えるフィット感、それに対する感性を知りたかったし、それにはプリタムチームのノウハウを借りる必要があった。繊細さやフェミニンさ、心ときめく要素など、どちらかというと「ユニクロ」が苦手とする要素も取り込みたい気持ちもあった。フィット感と感性、その両方を追求するためにパリに身を置くのはいいと思ったし、実際とても勉強になっている。そのうえで、どう変化させていくべきか、変えない所は何なのか、こっちの環境で我々の商品を見て考えたかった。

「欧米の客が納得する
フィット感とデザインを完成させる」

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