ファッション

ユニクロと「マメ」のコラボ第3弾 ヒット請負人MDに聞くこだわりの商品開発

 ユニクロは4月29日、黒河内真衣子によるファッションブランド「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI以下、マメ)」との3シーズン目となるコラボレーションコレクション「ユニクロ アンド マメ クロゴウチ(UNIQLO AND MAME KUROGOUCHI)」を発売する。過去2シーズンも好評だった同コラボをユニクロ側で指揮するのは、炬口佳乃子グローバル商品本部ウィメンズMD部部長。ブラトップやワイヤレスブラ、エアリズムマスクなど、主にウィメンズインナーで数々のヒットを導いてきた敏腕MDだ。炬口部長に、同コラボの狙いや第3弾のポイントを聞いた。

WWD:第3弾商品のラインアップを見ると、第1弾である2021年春夏商品からの微細な“アップデート”という印象が強い。分かりやすく目新しいものを投入して、注目を集めるというやり方をあえて採らないのはなぜか。

炬口佳乃子グローバル商品本部ウィメンズMD部部長(以下、炬口):初めてお会いした時から、黒河内さんは「インナーウエアという肌に直接身に付けるものだし、パッと売り切って終わるのではなく、長く愛されるものを作りたい」というお話をされていた。それに私たちも非常に共感した。インナーウエアは、シーズンごとにどんどん新しいものを作るというやり方は難しい。それだとフィット感や着心地の改善が進められない。コラボ第3弾は、パッと見た時にすごく新しさを感じるコレクションではないかもしれないが、過去に売った商品を長く温めながら、シーズンごとにお客さまの声を聞いてアップデートして、改善された商品を作ることができている。過去と同じように見える商品も、実は1つ1つアップデートされている。そうした考え方は、デザイナーコラボの中でもこのコラボ独特のものではないかと思う。

WWD:21年春夏の第1弾、21-22年秋冬の第2弾の手応えはどうだったか。

炬口:第1弾は国内だけでなく、シンガポールやタイなどでも反響が大きかった。第2弾は発売が冬だったこともあって、第1弾のように爆発的に売るということはタイミングとして難しかった部分もあるが、グレーを基調にしたコレクションが新鮮だという声を多数いただいた。

WWD:今回、シルク混のエアリズム素材をタンクトップやブラキャミソールに採用している。このコラボのために新たに開発した素材だ。

炬口:既存のエアリズムとは異なる、天然素材ならではの光沢感を黒河内さんは求めていた。われわれの取引先の素材工場の力を生かしながら、素材開発から外部デザイナーと一緒に取り組めていることに手応えを感じているし、それはお客さまにとっても大きな付加価値になる。実はエアリズムというのは、一つの定まった合繊の糸があるわけではない。生地表面の平滑性やドライ性など、さまざまな社内基準を総合的にクリアした生地のことをエアリズムと呼んでいるため、さまざまなアプローチがある。シルク混エアリズムも、エアリズムの定まった糸にシルクを混ぜればできるというものではなく、シルクと合繊をちょうどいいバランスで生地にすることがとても難しかった。黒河内さんの求めるハードルは非常に高かったが、諦めずにそれを形にしていくことで従来のユニクロの考え方では生まれないものができた。

「ユニクロっぽくないからいい」ではダメ

WWD:第1弾から引き続き、「下着と洋服の境界線を超える」をコンセプトにしている。

炬口:ちょうどそのコンセプトに着地できるような商品企画が、素材開発の段階から黒河内さんと共にできていることがとても嬉しい。下着の素材メーカーからは、どうしても下着の境界を超えられないものしか出てこないことが多い。そこに黒河内さんの感性や要求が加わることで、われわれユニクロチームも素材メーカーの目線もぐっと上がって、新しいものを目指すことができている。

WWD:このコラボで得た知見で、既存のインナーウエアラインの企画にも生かせるものはどんなことか。

炬口:カッティング1つ取っても、黒河内さんには非常に細かなこだわりや絶妙なバランスの取り方がある。デザイナーやパタンナーは、恐らくMDである私以上にさまざまなことを吸収している。第1弾や第2弾の商品を購入したお客さまからは、繊細な作りの金具や光沢感のある素材が「ユニクロっぽくなくていい」といったコメントもいただいた。好評で嬉しい半面、そう言われてしまうのはやはり残念だ。普段からユニクロの商品を支持してくださっているお客さまも、実はそういう(より洗練された)商品を求めているということの表れであり、それは素直に受け止められる。「ユニクロのインナーはコスパがよくて便利だね」「洗っても頑丈だね」といった軸ではなく、純粋に女性に「すてきだな」と思って手に取っていただける商品を既存ラインでも増やしていきたい。「コラボコレクションだからできがいい」というのでは違う。コラボで得た知見が既存商品にもいい影響を及ぼし、ユニクロのインナー全体がさらにグレードアップしていけばと思っている。

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