PROFILE: 山本千夏/ユンヌフィグ代表

ランジェリーを中心に展開する「ユンヌフィグ(UNEFIG.)」はシルクを始め、上質の天然素材を使用したランジェリーやウエアを提案するブランドだ。同ブランドは、ギャラリーに勤務していた山本千夏代表が2018年にスタート。デザインを勉強したことはないが、布帛のシルクを使用したシンプルな下着を約1年かけて開発した。ワイヤーもホックもなくかぶって着用するブラジャーは、パッドの代わりにバストトップに何枚もシルクを重ねている。パンティーも布帛を使用しながらもフィット感を考え抜いて制作した。素材選びから縫製までこだわり、丁寧に作られるランジェリーには、山本代表の「肌には気持ち良く、体は自由で、心は柔らかく」という思いが込められている。自社ECや東京・蔵前のアトリエで販売。現在では、インスタグラムで引き合いのあったセレクトショップを中心に国内外10店舗で販売している。山本代表に、「ユンヌフィグ」について聞いた。
年齢や体形で装う楽しみをあきらめないで
WWD:「ユンヌフィグ」を立ち上げたきっかけは?
山本千夏ユンヌフィグ代表(以下、山本):洋服は選択肢がたくさんあるが、下着は、自分が欲しいと思うものがなかった。友人も同じ意見。ワイヤー入りのブラジャーとなると専門的な知識や技術が必要だが、洋服の延長線にあるようなものであれば作れると思った。
WWD:ブランドのコンセプトは?
山本:下着は必ず身に着ける肌に近いもの。下着=ファンデーション。ファンデーションとは土台や基礎という意味だ。だから、着る人が何度も手に取り、その人の礎になるようなシンプルなランジェリーを提供したい。人が最も美しく見えるのは、何を着ているか忘れて自然体でいるとき。「着けていることを忘れる」くらい肌や体との一体感があり、締め付けない着心地にこだわっている。機能だけでなく着ける楽しみがあり、体も心も自由になれるようなランジェリーを提供したい。
WWD:ターゲットは?
山本:通常は「無印良品(MUJI)」や「ユニクロ(UNIQLO)」で下着を購入しているが、どこか物足りないと感じているお客さまが多い。シルクが好きな人やファッション好きも多い。リラックス用やナイトブラとして購入される場合もある。また、ミニマルなデザインなので、ファッションの一部として透ける洋服の下などに着用する目的で購入する人もいる。日本では、いつまでも若くいることがいいとされるが、そうではない美しさもある。若くないから、体形がこうだからと、装う楽しさをあきらめる必要はない。「ユンヌフィグ」を通して、年齢、体形に関係なく、自然体でいられる快適な着け心地と、下着を着ける楽しさを届けられればと思う。
WWD:商品構成や価格帯は?コレクションは年に何回?
山本:下着は季節感があまりないものなので、コレクションは1年に1回。定番はブラジャー、パンティーがそれぞれ3型、タンクトップが2型。キャミソールやスリップなどを作るときもある。黒、グレー、ベージュが定番色で、年に1回、差し色としてブラウンやホットピンクなどが登場する。価格は2万〜3万円程度。サイズ展開はS、M、L。好みのフィット感は人それぞれ。だから、お客さまにより選ぶサイズはまちまちだ。
WWD:ウエアもあるようだが?
山本:今年初めて本格的にウエアを出した。トレンドに左右されず、3シーズン着用できるものを6型作った。一部ユニセックスで、下着の延長のような感覚で、部屋と外の境がなくパジャマとしても、レストランに行くときにも着用できる。また、1枚でもあらゆる着方ができるデザインにしている。価格は4万〜8万円程度。
妥協ない素材選びと縫製、無駄なく丁寧に届ける
WWD:デザインやモノ作りへのこだわりは?
山本:身に着ける人がきれいに見え、洋服の邪魔をしないデザインを心掛けている。シルクやコットン、シルクカシミヤなど、素材は妥協せずに高くてもいいものを選ぶ。下着は洗濯頻度が多く、ストレッチ素材だとすぐに使用感が出る。だから、作るのは大変だが長持ちする布帛を使用している。また、縫製のクオリティーにもこだわり、職人とコミュニケーションを取りながら生産している。無駄を出したくないので、工場からの納品は個別包装ではなく畳んでまとめて大きなビニールに入れてもらっている。お客さまへ商品を渡すときは、ビニール袋ではなくハンカチに包んでいる。
WWD:伊勢丹新宿本店の下着セレクト売り場マランジェリーでもポップアップしたようだが?
山本:「アンドプレミアム(&PREMIUM)」内の特集でスタイリストの井伊百合子さんが“Yバックブラ”を紹介してくれたのがきっかけで、バイヤーから声が掛かり、百貨店では初のポップアップを開催した。3月末には三越日本橋本店のライフスタイルイベントにも参加する。
WWD:「ユンヌフィグ.」をどのように育てていきたいか?
山本:今まで、特に営業をしてきたわけではないが、地方のお店が継続的に仕入れてくれ、顧客がついている。ショップのオーナーと自分の感性がマッチするだいご味を感じている。それが、ECにつながったり、EC地方のお店につながったりする。そのような草の根的なやり方を続け、少しずつでも広がっていけばと思う。ECでは、夢がありつつも、商品やサイズ感をわかりやすくどのように表現していくかが課題。フォトグラファーと試行錯誤しながらよりよい表現にチャレンジしていくつもりだ。