
暖冬が続くここ数年、アウターの提案は各社の悩みどころです。そんな中この冬、特に支持されているのがボアアウターです。フリース系素材ならではの風合いに加え、デザインバリエーションの豊富さや、春まで着られる提案が人気を押し上げているよう。「素材・デザイン・重宝感」の三拍子がそろうアイテムです。
ダウンよりはカジュアルすぎず、ファーコートより華やかすぎない。見た目の主張が控えめなボアアウターは、着用シーンも幅広いのが特徴です。加えて、気持ちをなごませてくれる風合いはボア系素材ならではです。ドレッシーなタイプや、リバーシブル仕様、レイヤード向き、カラフルパターンなど、選択肢が増えてきたのも愛用者が増える理由でしょう。この冬、注目のボアアウターの代表例をご紹介します。
「パタゴニア」の名品がアップデート
「パタゴニア」の名品がデザインと素材ともにアップデートされました。新作の「ウィメンズ・クラシック・レトロX・ジャケット」はマルチカラーで華やか。ゆったりしたボクシーなシルエットが一段とタウンユース向きになって、おしゃれ感もアップしています。パンツにはもちろん、ワンピースやスカートなどのフェミニンなアイテムにもマッチしそうです。
素材はリサイクルのポリエステル100%。原料はプラスチック汚染の危機にさらされている沿岸部から供給されたもの。襟の内側のフワフワ感やポケットの形は2000年代初期のデザインを継承しています。デザインも使い捨てにしないのは、さすが「パタゴニア」。しかもフェアトレード認証済みの工場で製造されています。こういったSDGs仕様がZ世代からの共感を集める理由です。
外から見えない部分もしっかりバージョンアップしています。たとえば、裏地のメッシュ・防風フィルムはタフタ素材に変更されました。「袖通しがスムーズになり、重ね着がしやすいと高評価」(プレス担当者)だそうです。ゆったりしたシルエットは普段使いに重宝。サイズ感にゆとりが出たので、「タイトめが好みならワンサイズダウンも推奨されています」(同)。
モードに着こなす「メゾンスペシャル」のボア
エッジィな提案が強みの「メゾンスペシャル(MAISON SPECIAL)」は、ボアアウターでもブランドらしさを打ち出しています。ブルゾンシルエットのアウターに、あえてエレガントなボウタイブラウスの合わせ。真逆なテイストのクールなレザースカートで、コントラストを際立たせました。ボアアウターの出番を増やす魅力的なスタイリングですね。
ボア素材に大ぶりのフラワーモチーフをあしらって、華やかさと存在感をプラス。正面のブルー系高発色ファスナーがスポーツブルゾン感を引き立てています。ハイネックの襟は気高いムードを顔周りに呼び込みました。
レイヤードの可能性を広げるゆったりシルエットだから、内側に着込むアイテムを変えれば、多彩に着こなせる懐の深さも魅力です。モードな着こなしにもなじみます。「メゾンスペシャルらしい柄やカラーがスタッフやメディア関係者からも好評」(プレス担当者)だそうです。
きれいめ派なら「ジャーナルスタンダード レリューム」
タフなアウトドア感が特徴のボアウターですが、大人のエレガンスを備えたタイプが増えてきました。「ジャーナルスタンダード レリューム(JOURNAL STANDARD RELUME)」のリバーシブルボアブルゾンは穏やかでノーブルなたたずまい。カジュアルシーンだけでなく、コーディネート次第でオフィスや会食にも着て行けそう。ヒップに軽く重なる程度の着丈バランスが絶妙で、きれいめ派のボアアウターデビューにぴったり。
表側はボア、裏側はキルティング素材のリバーシブル仕立てです。気温に応じて使い分けしやすく、春までしっかり使えそう。「寒暖差」は今やファッションのキーテーマになっているだけに、ユーティリティーなアウターは期待大。癖のないノーカラータイプだから、トップスとの相性を選ばないのもいいところです。
“1枚で2着分”のお得感はリバーシブルの強みです。マルチに使える便利さがあるから、出番が広がります。「トレンド感がありつつ、軽い着心地のアウターをお探しのお客様が多い」(プレス担当者)。そんな欲張り志向に応える“多機能型ボアアウター”はさらに支持を広げていきそうな気配です。
王道の「ユニクロ」は愛され間違いなしの“もふもふ”感
フリース素材に定評のある「ユニクロ(UNIQLO)」からは風合いのよさを引き出した「フリースジップアップジャケット」が登場しました。もこもこした愛らしさは“これぞボア”の表情。まるでぬいぐるみのようなふっくら感で、着る人の雰囲気までやわらかく見せてくれそうです。
少し高めのスタンドネックはあごから首にかけてのぬくもりをキープ。ネックウエアの重ね付けにも向いています。折り返して着られるので、春先まで出番があります。内側にはマイクロフリース素材を配してあり、肌触りは申し分なし。サイドスリットを備え、動きやすさも向上。“LifeWear”をうたう「ユニクロ」らしい、細部まで芸達者なボアアウターです。
購入者レビューには「もこもこでかわいい」「でっかいプードルみたい」と、フリースの風合いを高く評価する声が相次ぎました。高い襟は縦長イメージを印象付ける効果が支持されているよう。サイズアップして購入すれば、レイヤードがしやすく、こなれたゆるっと感も楽しめます。
ボアアウターは見た目の愛くるしさやゴージャス感に加えて、ダウンやファーよりもプライスが比較的リーズナブルなのもファンが多い一因です。指先の感触から気持ちが癒やされるような“もふもふ感”は格別。もともとアウトドアで使われていた素材のため、軽くて丈夫。洗濯機で洗えるイージーケアも多くなっています。人気を追い風に、バリエーションが一段と増えてきたから、それぞれテイストの異なるブランドから自分好みのボアアウターを見つけてみませんか。