
生成AIとAIの実装が進む中、国内のファッションテック企業が次の成長局面を迎えている。先行するのが2018年設立のAI modelだ。同社は“生成AIモデル”という言葉の名付け親として知られ、アパレル向けにリアルな着用イメージを自動生成する技術を提供する。ブランド側がモデル撮影にかけるコストやリードタイムを大幅に縮減できる点が評価され、導入企業は急増している。
生活者向けサービスからAI化を進めてきた 「xz(クローゼット)」 は、累計1000万件のコーデデータを基にしたレコメンド技術を強みに持つ。ユーザーのタンス在庫を可視化し、AIが日々の最適コーデを提案する仕組みは、購買データでは取得できない「実際の手持ち服」という貴重な情報基盤となり、企業連携も進む。
一方、サプライチェーン領域では在庫最適化が深化する。12年創業のフルカイテンは需要予測と在庫配置をAIで高度化し、多くの大手アパレルの欠品・過剰在庫削減に貢献している。18年設立のワンビートもグローバルで実績を持つイスラエル発SaaSで、日本では三井物産系VCが出資。SKUごとの動きをリアルタイムで分析し、売り逃し防止から粗利最大化まで一気通貫で支援する。
プロダクト開発では シンフラックスが存在感を高める。同社は3D AIを活用したサイズ最適化やデジタルパターン生成を強みに、ブランドの生産効率化やEC試着体験の高度化を推進。フィジカルとデジタルを横断するモノ作りを実現し、次世代のサプライチェーンを担う存在として注目されている。
生成AIモデル、在庫最適化、コーデ提案、3Dパターン―。それぞれ異なる領域からアプローチしつつ、共通しているのは「感性領域を扱うファッション産業を、データとAIで再定義する」という視点になる。(この記事は「WWDJAPAN」2025年12月1日号からの抜粋です)

注目企業の動向は?
生成AIと組み合わせることで、従来のサービスや技術を大幅に進化させる企業が続々と登場している。国内外の注目企業の動向に迫った。
ビジョナリーズ777
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世界クラスの「XR×生成AI」スタートアップが日本上陸
2012年設立のビジョナリーズ777は香港とシンガポール、ベルリンを拠点に、BMWやリシュモングループなどのグローバル企業を顧客にXR技術を軸にしたソリューションを提供してきた。これまでは自動車や高級時計などの3DCADデータとXR技術を組み合わせることで、商品開発から店頭での販促プロモーションなどのソリューションを開発してきたが、25年8月の日本法人設立を機にグローバル本社も東京に移転。生成AIと組み合わせたサービスの開発を強化し、日本市場に本格的に進出する。
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