ファッション

「バーニーズ ニューヨーク」に期間限定でランジェリー売り場が復活  キーマンに聞くその狙いとは?

PROFILE: 村田幸子(むらた・さちこ) / バーニーズ ジャパン エグゼクティブマーチャンダイジングアドバイザー

村田幸子(むらた・さちこ) / バーニーズ ジャパン エグゼクティブマーチャンダイジングアドバイザー
PROFILE: 短大卒業後、商社勤務を経て渡英。帰国後1990年に伊勢丹研究所に入社し、ファッションコーディネーターとして伊勢丹新宿本店のファッションディレクションを手掛ける。ランジェリー売り場を担当し、店舗オリジナル「オンリーアイ」の商品開発に携わりヒット商品を生む。退社後はラグジュアリー・ブランドのMDやGMを歴任。2024年6月にバーニーズ ジャパン入社。ウイメンズMDを経て、25年6月より現職 PHOTOS:RYOKO ONO

「バーニーズ ニューヨーク( BARNEYS NEW YORK)」(以下、「バーニーズ」)の銀座本店に、2026年1月12日までの期間限定でランジェリーコーナーが復活した。過去にランジェリー売り場を設けていた時があったものの、近年、常設売り場は姿を消していた。復活にあたり、ランジェリーオンラインストア「ランジェリー アンド ハー フィルム(THE LINGERIE AND HER FILM)」を運営し、確かな審美眼でデザイナーランジェリーの魅力を発信してきた萩本佳弥氏をエディターとして起用。「アラクス(ARAKS)」「キャンディス フォッション(CANDICE FAUCHON)」「ボダス(BODAS)」「アンドレスコード(UNDRESS CODE)」「ベースレンジ(BASERANGE)」「ハーセンシズ(HER SENSES)」「フレア デュ マル(FLEUR DU MAL)」などの、ファッション性を重視したブランドをそろえる。百貨店では売り場縮小や上階への移設が目立つ今、「バーニーズ」がランジェリーコーナーを復活させた狙いは何か? 村田幸子バーニーズ ジャパン エグゼクティブマーチャンダイジングアドバイザーに聞いた。

ランジェリーはイブニングドレスと並ぶバーニーズのDNA

ーーランジェリー売り場を復活させた理由は?

村田幸子バーニーズ ジャパン エグゼクティブマーチャンダイジングアドバイザー(以下、村田):銀座本店は2004年にオープンし、今年9月に1階と2階を大々的にリニューアルした。そのタイミングで「バーニーズ」のDNAの一つである、パーティーシーンや夜の外出用の華やかなイブニングドレスを復活させたいという思いがあった。「バーニーズ」のもう1つのDNAがランジェリーだ。萩本さんも私もニューヨークの「バーニーズ」では必ずランジェリー売り場を見に行ったし、新宿店がオープンした時のランジェリー売り場も素晴らしかった。女性のライフスタイルを彩る2つのDNAを復活させたいと思った。

ランジェリーに関しては、お客さまの価値観が変わり、コロナ禍の影響を一番受けたカテゴリーだと思っている。インポートランジェリーも減り、百貨店の下着売り場も変化する中、今後どの方向に行くのか考えた。快適さやサステナビリティはもちろん、モードも必要。それらを全ての要素をランジェリーで表現したいと思うが、常設にするにはリスクが大きいため、まずは今のお客さまの価値観を探るためにポップアップを開催することにした。

ーーポップアップのコンセプトは?

村田:「バーニーズ」の看板があるため、ラグジュアリーという軸は外せない。今の価値観を象徴する快適さを提案するブランドをそろえるのはもちろん、自己表現するためのランジェリーを提案する。ランジェリーは自分の内面を表現するためのツールでもあるから。通常、ポップアップは2週間単位で開催されるが長めに設定。何度も来店してもらい、ランジェリーに触れて、試してもらいたいし、お客さまとのコミュニケーションをじっくリ取る場にしたい。軽やかな着け心地で洋服と同じ感覚で選べるデザイナーランジェリーを生活の一部に取り入れてもらうきっかけになれば。

ーーエディターに「ランジェリー アンド ハー フィルム」の萩本佳弥氏を起用したが?

村田:展示会で「ランジェリー アンド ハー フィルム」のラインアップを見たとき、快適性につながる軽さがあり、カラーもインパクトがあった。過去のラグジュアリーランジェリーはヨーロッパ系のブランドが多かったが、彼女のセレクトにはアジアや北欧などのブランドも含まれており、多様性がある。彼女自身もニューヨーク在住時に「バーニーズ」のランジェリー売り場を見て刺激を得ていたという共通点もあった。今後、アジアのブランドをどのように定着させるかは「バーニーズ」の仕事だと思っている。たとえば、中国ブランドの「ハーセンシズ(HER SENSES)」などが入っているのも感動した。

次世代の価値観やトレンドを探る場に

ーーランジェリー売り場に何を期待するか?

村田:お客さまの声を聞く場であること。まずは、お客さまが満足するランジェリーが何かを探りたい。今回のリニューアルで新規客も増えた。それら次世代が欲しいと思うランジェリーを価格なども含めて知りたいし、トレンドも把握したい。中国や韓国のファッションデザイナーと話す機会が多く、ポジティブかつ柔軟で新たな取り組みも増えている。ランジェリーにおいても、今後、そういう開発もできればと思う。

ーーポップアップで「バーニーズ」のスタッフが販売を行うのは?

村田:サポートしてもらうこともあるが、「バーニーズ」のポップアップは弊社スタッフが販売するが基本だ。事前に商品情報を共有し、スタッフが興味を持ちファンになることが重要。例えば、化粧品売り場では他にはない商品が多いが、スタッフ自身が使って「これがいい」と思うと売上高がアップする。ポップアップの期間はギフトシーズンで繁忙期だ。自分のためのご褒美需要も多い。新年にランジェリーを新調して運気アップというような需要も期待している。

ーー 多店舗展開の予定は?

村田:これまでのアンダー×カップからSMLへとサイズの捉え方も変化し、快適性を求めるランジェリーには新しい価値観がある。銀座本店のポップアップの結果次第で、全国に5店舗での展開やEC販売を考えたい。

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